深ヨミ

奪われた甲子園 地元紙が追ったコロナ禍の高校野球

2021/04/17 16:30

 2020年3月1日夜、神戸新聞編集局のフロアは慌ただしさを増していた。


 「兵庫県内初の感染者が確認されたもよう」


 報道部の当番デスクの電話がひっきりなしに鳴っている。記者たちは険しい顔で社を飛び出す。紙面編集の担当者は腰を浮かせて情報を待っている。


【神戸新聞編集局の一角】



 不穏な空気に気付き、喧噪から少し離れた運動部のデスク席を立つ。生の情報が伝わっているであろう、速報担当に近寄り、声を潜めて尋ねた。


 「場所はどこですか?」


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