【写真上】勝ち取ったチャンピオンベルトなどとともに=尼崎市内
■幻の世界戦
野中悠樹(43)は2009年の秋、東洋太平洋と日本の王座を懸けたダブルタイトル戦に敗れ、2冠から陥落した。このとき、31歳。勝てば世界ボクシング協会(WBA)暫定王者と戦える可能性があった。しかし連載11回目で紹介したように、プライベートな問題で集中力を欠いて試合に敗れてしまう。
その後、ボクシングに専念する覚悟を決めてからは7年間で12勝1分けと、国内で勝ち星を積み上げていく。36歳で日本王者に返り咲くと、38歳の時には世界ランキングが自己最高の世界ボクシング機構(WBO)4位まで上がった。
この間も実現こそしなかったものの、実際に世界戦のチャンスが何度もあった。いずれも破談に終わったのはなぜだろう。桂伸二トレーナー(50)によれば、ほとんどが「お金」が原因だった。
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