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頭頸部がんの特徴、光免疫療法の仕組みなど解説 神戸大病院がオンライン講座

2022/01/31 05:30

 がんを狙い撃ちする新しい治療「光免疫療法(光免疫)」について、神戸大病院(神戸市中央区)の医師が語る市民公開講座(神戸新聞社など共催)が30日、オンラインで開催された。手術、放射線、抗がん剤といった従来の治療とは全く異なる光免疫。口やのどなどの頭頸部(とうけいぶ)がんには保険も適用されるため関心も高く、約120人が耳を傾けた。


 光免疫は、米国立衛生研究所の小林久隆主任研究員(兵庫県西宮市出身)が開発したがん治療法で、2020年9月に新薬が国内で薬事承認された。神戸大病院は21年7月、県内初となる光免疫の治療・研究拠点を神戸・ポートアイランドの同病院国際がん医療・研究センター(ICCRC)に新設。専門外来を開いている。


 講演では、同病院の古川竜也助教が、手術などで治療しても繰り返しがんが出てくる頭頸部がんの特徴を説明。清田尚臣特命准教授が、光を受けたときだけ強いエネルギーを発する物質を、がん細胞に導く抗体薬にくっつけて点滴する光免疫の仕組みや、腫れや痛みなどといった副作用を解説した。


 最後に四宮弘隆特命准教授が、実際に光を照射した経験などを踏まえて治療の流れを説明した上で、「この治療は歴史が浅く、治療効果や副作用などがまだ十分分かっていない」と指摘した。「頭頸部がん以外に使えるのか」という参加者の質問に、「食道がんや胃がんについては研究が進められているが、ほかのがんは全く未定」と答えていた。(霍見真一郎)


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