高齢者らから、現金やキャッシュカードをだまし取る特殊詐欺。この特殊詐欺事件に関わって容疑者として摘発される外国人が増えている。ほとんど日本語が話せない外国人が逮捕されたケースもある。コロナ禍、孤立、生活苦…。「受け子」として逮捕、起訴された中国人男性の公判を傍聴すると、行き詰まった外国人を取り巻く厳しい事情が見えてきた。
■「受け子」の人材不足
警察庁によると、2020年に、特殊詐欺事件に関わって摘発された外国人は136人。17年までは60人前後で推移しており、倍増以上の伸びを見せている。
その約6割が、被害者と直接対面する「受け子」だった。国別では中国籍が7割と多く、ほかは韓国籍(7%)、ベトナム国籍(5%)となっている。受け子以外に、ATM(現金自動預払機)などで現金を引き出す「出し子」役もいる。
ほとんど摘発者がいなかった兵庫県警でも、20年に5人を摘発。捜査関係者は「詐欺グループも今や人手不足。外国人材に頼らざるを得ないのでは」と指摘する。捕まる可能性が高い受け子や出し子は誰もやりたがらない。詐欺グループが狙うのは、金に困った外国人。妻子と暮らす東京で誘いに応じてしまい、兵庫県警に摘発された中国籍のリュウ(46)=仮名=も、そんな一人だった。
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