深ヨミ

(8)<番外編>明石ダコの危機 不漁の今こそ海底の賢者を知る

2022/11/12 05:30

 目の前から姿がなくなり、初めて存在の大きさに気付くことがある。それは今、兵庫・明石海峡の名産、明石ダコにも当てはまるかもしれない。引き締まった身の食感、滋味深い味わいで食通をうならせてきたが、記録的不漁だった昨年に続き、明石市では今年も漁獲量が大きく落ち込んでいる。今回、マダコの赤ちゃんがふ化する様子を取材したが、これまでタコの一生がどんなものか考えたことなどなかった。母ダコの子育てに触れ、ふと湧いてきた親近感。「あれっ、ちょっと人に似てるかも」。専門家によると、多くのタコの生態はいまだ謎が多く、兵庫県水産技術センターは不漁の原因について「分からない」としている。豊穣の瀬戸内で繰り返されてきた命の営みに、いま何が起きているのだろう。資源回復のヒントを探した。



■海藤花 見られるかもしれない


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