対面販売での説明が好評 神戸・東灘の野菜直売店
2019/03/02 05:30
買い物客に野菜の特徴を説明しながら販売する西松由香里さん(左)=東灘区甲南町3
神戸市東灘区岡本から天上川沿いを南へ。国道2号を西に向かうと兜のデザインのアーケードが現れた。東灘区で唯一のアーケードがある甲南本通商店街だ。JR住吉と摂津本山駅の中間付近で、阪神電鉄の駅からも近くない。なぜこの立地にアーケード付き商店街? 南北約200メートルに約50店舗が並ぶ同商店街を訪ねた。(吉田みなみ)
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何やら空き地に人だかりが。子ども連れの母親や主婦らが集まっている。店頭には、ホウレン草やネギなど見慣れた野菜のほか、柿のような甘さのある「黄ニンジン」や、小さな果実と甘さが特徴のダイコン「おむすびッシュ大根」など見た目や味が珍しいものも。
出店しているのは「協同出荷組合 神戸グリーンキャッチ」。兵庫楽農生活センター(西区)で作物栽培を学んだ笹山大代表(43)が創業した。
同センターの卒業生を中心に西区や北区、三木市、淡路市などに住む新規就農者ら約40人が育てた減農薬野菜や果物を販売している。「この地域は子どもが多く、安心で安全なものを食べさせたい親御さんが多い。需要と供給が一致したんちゃうかな」と笹山さん。
販売方法もヒットの要因だ。責任者の西松由香里さん(39)が「このセロリは生で食べるとおいしいんよ」「このダイコンは水分が少ないのが特徴で…」と客を呼び込み、直接調理法や保存方法などを伝授する。
近くの無職女性(63)は「対面販売なので調理法や保存方法をその場で教えてもらえる。お話するのが楽しくて、毎日通っている」と笑顔。西松さんは「ここが地域のコミュニケーションをつなぐ場になればうれしい」と話す。
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「阪神・淡路大震災前まで二つの市場(甲南市場、新甲南市場)があってねえ」。同商店街振興組合の速見哲理事長(62)は振り返る。新甲南市場は、現在、スーパー「食彩館」に姿を変え、市場の人々が中心に運営を手掛ける。
「映画館が3軒営業していた時代も」と続ける速見さんに冒頭の疑問を尋ねてみた。
「鉄道の駅から離れすぎていませんか」
「今はバスしか走っていないけど、2号線を路面電車が走っていて、停留所があった」と速見さん。
「なるほど、昔は駅前だったんですね」