神戸・長田を緑でいっぱいに 住民と企業が一致団結

2018/11/23 05:30

環境が改善し、再び市民の憩いの場となった獅子ケ池のほとり=神戸市長田区一里山町

 神戸市長田区北部の獅子ケ池ふれあい市民緑地で育てた樹木を、緑の少ない区南部に移植する取り組みが2017年度から始まっている。街中に植えられるまでに育つのは数年先になりそうだが、細長い区ゆえに乏しかった南北間の地域交流にも緑が一役買っているという。同緑地で今月15日、区内4小学校合同による2年目の植樹会があり、児童約200人が苗木33本を植えた。(上杉順子) 関連ニュース 柔道・阿部兄妹が地元で初詣 一二三はおみくじ「吉」、詩は… イニエスタら、3千人に天皇杯優勝報告 ビジャ「来年はそっち側で」 J1神戸、天皇杯の優勝報告会 2日神戸で 監督、選手が参加予定

 市や地元団体・企業が進める「ながた緑プロジェクト」。同区は航空写真を基に割り出す緑地の面積「緑被率」(05年時点)が29%と、全市平均の69%を大きく下回る。特に町工場や商店、住宅が密集する南部は少ないため、住民が愛着を持てる緑を増やそうとスタートした。
 今年2月に第1号としてJR新長田駅前広場にザボンを植えた。その後も区南部の小学校や公園11カ所にウメやオリーブを植樹している。当面は市販の木を植えるが、獅子ケ池ふれあい市民緑地の木が育ち次第、切り替えるという。
 同緑地で昨年、今年と植樹したのは真野、真陽、駒ケ林、丸山ひばりの各小学校の2、3年生。南部住民が希望したハナミズキやカキ、サルスベリと、地元の産業用ベルト大手「三ツ星ベルト」(同区)の従業員団体が寄贈したドングリの苗木を数人一組で鉢に植えた。日々の世話は北部住民でつくる「獅子ケ池を美しくする会」が担う。
 ドングリを植えた真野小3年の女児(9)は「木が大きくなって自分が住んでいる辺りに来たら、ドングリの実でこまを作りたい」と期待。昨年の植樹会で植えた木は順調に育っているといい、美しくする会の冨澤孝会長(81)は「獅子ケ池を利用して街の緑化が進むのはうれしい」と声を弾ませた。
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 南部の緑化に貢献する獅子ケ池は、須磨との区境にある農業用ため池。池畔の緑地は昭和40年代半ばから50年代にかけ、遠足やキャンプに広く利用された。しかし約30年前にキャンプ場が閉鎖された後は、車やモーターボートが不法投棄されるなど荒れ放題に。06年に結成された美しくする会が市と共に整備に取り組み、今では市民の散策コースになるほど環境が改善した。市バスの停留所も近く、冨澤会長は「気軽に利用してもらえたらうれしい」と話している。

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