めざせプラス5万円の道 60代の「メルカリ」生活 常連客がつくコツ

2019/10/15 15:17

メルカリで趣味のグッズなどを売る細田香代子さん=神戸市須磨区

 「高齢夫婦の年金暮らしは月5万円の赤字」-。金融庁金融審議会の報告書が、先ごろ波紋を呼びました。後に撤回されましたが、老後の不安は相変わらず。とはいえ考え込んでも仕方ありません、ここは一つ前向きに。断捨離、懸賞、そして節約。コツコツとした毎日の積み重ねを楽しみながら、暮らしに潤いを添えている皆さんをご紹介します。 関連ニュース 「尼崎のUSB」?メルカリに出品、すぐに削除 市は「いたずら」との見方 外湯巡りの「一番札」、人気で客が奪い合い 兵庫・城崎温泉やむなく廃止へ GoTo食事券の申し込みはがきがメルカリに出品される 事務局「購入しないで」

    ■    ■
 増えすぎた文庫本、集めすぎたグッズ…。自宅に積み上がった品々も、ネットやアプリで販売すれば、老後の貴重な収入源になる。終活を兼ね、1年前からフリーマーケットアプリ「メルカリ」を利用し始めた会社員細田香代子さん(61)=神戸市須磨区=の生活をのぞいた。
 細田さんは韓流歌手の大ファン。年に何度も国内や韓国でコンサートを楽しみ、そのたびにペンライトやパンフレットなどのグッズが増えていく。本も好きで、小説から全集まで蔵書は「数え切れない」という。
 「とにかく荷物を減らしたかった。古本屋で売ったこともあるが、1冊10円程度にしかならない。少しでも高値で処分したくて」。昨年9月、娘たちの勧めで、断捨離をしようとメルカリを始めた。
 スマートフォンでメルカリのアプリをダウンロードし、商品の写真をアップする。「写真は撮りためておけば、必要な時に出品しやすい。写真は多い方が、悪いところも含めて、買い手に現状を知ってもらいやすい」という。説明文では、単に商品を紹介するだけでなく、「こんな料理に使えますよ」といった活用方法を添え、買い手のイメージを膨らませるのがこつだ。
 発送の際、本はぬれないよう、クリアファイルなどで包む。神戸限定のマスキングテープで留めるのが、細田さんのこだわり。商品にはお礼の手紙を添える。「購入者からもらえるコメントがうれしい。心が伝わり、大切にしてきた本や雑貨が、新しい〝人生〟を歩み出したと感じる」。小さな気遣いが人気を呼び、常連客もついた。大きなトラブルはない。
 手軽さもあり、この1年間で約100品を販売。メルカリで得た収入は、1割の手数料を差し引いて11万円ほどになった。最近は頻度が減ってきたが、今も140品を出品中。「葬式代の足しになれば」と笑う。
 捨てることに抵抗はあるが、再び生かされるなら手放してもいい。細田さんは、これからも楽しみながら〝在庫〟を減らしていくつもりだ。(本田純一)

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ