兵庫県豊岡市の城崎温泉で約20年前から、外湯巡りの記念に贈られていた「一番札」が3月末で廃止される。名物の七つの外湯それぞれで、毎日、一番初めに訪れた男女に渡される木札。人気のため客同士で取り合いが生じ、フリーマーケットアプリ「メルカリ」で高額で売りに出されるなどトラブルが相次いでいた。
一番札は木製で縦約10センチ、横約8センチ。表面に「開湯男湯(女湯)一番札」の文字と日付や外湯の名前などが記され、裏面には外湯の絵柄が描かれている。旧城崎町温泉課と城崎町湯島財産区が記念品として2002年から配布を始め、年間約4200枚を準備してきた。
人気となり、全種類を集めようとする客同士が順番待ちの列の先頭を巡りけんかになることも。札をもらうだけで入浴せずに出て行く人もいるなど、順番争いの過熱ぶりに苦慮していた。近年はメルカリで販売する人もおり、全種類セットで1万4080円の価格が付けられたことも確認された。
一番札の廃止について、地元住民からは「札をもらえなかった利用客に他の外湯を案内するなど、会話やコミュニケーションにつながったのに」と惜しむ声もある。湯島財産区などは今後、1番でなくても購入できる記念商品の企画・販売を検討している。(石川 翠)