苦渋の表情、木村前王位「一からやり直します」 将棋、王位戦
2020/08/20 21:35
対局終了後、天を仰ぐ木村一基前王位=20日午後、福岡市中央区の大濠公園能楽堂
将棋の第61期王位戦7番勝負(神戸新聞社主催、伊藤園協賛)の第4局が20日、福岡市の大濠公園能楽堂で指し継がれ、午後4時59分、挑戦者の藤井聡太棋聖(18)が木村一基王位(47)を80手で破り、4連勝で初の王位を獲得した。
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「ストレート負けは恥ずかしい限りで申し訳ない。また一からやり直します」。木村一基前王位(47)は終局後、4連敗で終わったシリーズを苦渋の表情で振り返った。
昨年46歳3カ月の最年長記録で悲願の初タイトルを手にし、「中年の星」と喝采を浴びた。初防衛がかかった今期7番勝負の挑戦者は、数々の最年少記録を塗り替えてきた藤井聡太棋聖(18)。開幕から3連敗を喫した。
あとがない第4局。対局前、「切り替える準備をしてきた」と大一番への意気込みを口にした。しかし「ミスがない」と舌を巻く藤井の指し回しに、「千駄ケ谷の受け師」の異名を誇る守りと粘りは発揮できなかった。
「何度挫折してもくじけない」を意とする「百折不撓」を座右の銘とするベテラン。初戴冠までに最多となる7度のタイトル挑戦という苦難の道も乗り越えてきた。今日の悔しさも返り咲きへの糧とするだろう。