沖縄戦時の知事・島田叡氏しのぶ 元沖縄県副知事、神戸で講演

2018/10/21 16:00

「島田さんが結んでくれた兵庫との絆を大切にしたい」と話す嘉数昇明さん=神戸市中央区波止場町2

 神戸出身で太平洋戦争末期に官選知事として沖縄に赴いた島田叡(あきら)氏の功績を学ぶ講演会が20日、神戸市中央区の神戸海洋博物館ホールで開かれた。沖縄県元副知事で、島田氏の慰霊を続ける嘉数昇明(かかずのりあき)さん(76)が講師を務め、戦渦が広がる中、住民保護に尽力した島田氏について「戦後73年たった今も沖縄県民に尊敬されている」と話した。 関連ニュース 戦後80年 銀幕から見つめ直す 日本の新旧戦争映画、神戸や大阪で続々上映 【識者コラム】戦後体制の原点を思う 日本は秩序回復リードを 中満泉 25年上半期の倒産は339件 前年比12.3%増、過去20年で5番目の多さ 兵庫県内

 NPO法人・近畿みなとの達人などが主催する講座の一環。嘉数さんは1942年、那覇市に生まれ、県議などを経て副知事を務めた。現在は島田氏を含め戦争で犠牲となった県職員らを追悼する「島守の会」の顧問。戦後70年の2015年には、同市に顕彰碑を建立する活動にも参加した。
 嘉数さんは米軍に制海・制空権を奪われる中、島田氏が台湾に渡って米を調達した話に触れ、「命を捨てて尽くしたからこそ、住民の心に焼き付いたのだろう」と指摘。また、兵庫県が戦後の沖縄にスポーツ施設を建設するなど、島田氏が縁で生まれた両県のつながりを紹介し、「兵庫の中学・高校生が、修学旅行で沖縄に来て、戦史を学んでくれている。島田さんが結んでくれた絆を今後も大切にしたい」と締めくくった。(津谷治英)

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