復興基金事業継続へ 活性化策、防災への充当を検討

2009/01/04 16:40

 被災者の生活再建や産業復興などを支援する財団法人「阪神・淡路大震災復興基金」の事業について、理事長の井戸敏三兵庫県知事は、二〇〇九年度末で新規受け付けを終えるとしていた従来の方針を転換、残余金が出れば継続を検討する考えを示した。副理事長の矢田立郎神戸市長も同様の意向。被災地に残された課題に対応した事業を続けていきたいという。(石崎勝伸、紺野大樹) 関連ニュース 神戸市長選終え 知事、市長に聞く 三宮のシンボル再生へ 新・神戸新聞会館起工 借り上げ復興住宅 居住継続を求め県、市に請願書

 いずれも震災丸十四年を前に、神戸新聞社のインタビューに答えた。
 復興基金は一九九五年四月に設立。県と同市が二百億円を拠出、八千八百億円を無利子で貸し付け、その運用益で百十三事業を展開してきた。設立から十年の〇四年度末で事業の新規受け付けを終了する予定だったが、高齢者の自立支援や市街地の再生など残された課題が浮上。二十二事業について残余金を活用し、〇九年度末まで五年間延長していた。
 事業資金の残高は〇七年度末時点で九十一億円。二〇年度まで続く事業の資金を確保しても、一定の残余金が出る見通しという。
 こうした状況を踏まえ、井戸知事は「(新たに受け付ける)事業の枠が出てくるようなら、基金を活用していくというのが基本姿勢」と説明。地域団体や商店街などに最高一千万円を補助する既存の「まちのにぎわいづくり一括助成事業」や、防災力強化の新規事業に充てたい、としている。矢田市長も「(受け付けを)続けるべき事業があれば、それに目を向けなければならない」とした。
 継続の是非については今後、学識者らでつくる県復興フォローアップ委員会で議論するという。

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