矢田立郎神戸市長と井戸敏三県知事が28日、それぞれ会見し、27日に投開票された同市長選で次期市長に決まった久元喜造氏(59)について、豊富な行政経験に期待を示した。矢田市長は元副市長の久元氏を後継指名し、井戸知事も全面支援していた。(田中陽一、三木良太)
次点だった会社社長樫野孝人氏と久元氏との差は約5600票で、戦後の市長選では最も激しく競った。
矢田市長は「これほどの接戦になるとは感じていなかった」としつつ、樫野氏を念頭に「時代の風潮として、実現性が不確実なことを言う状況が散見され、好ましくないと思う」と話した。
現市政への批判票があったのでは‐との質問には「選挙期間の中間時点で久元氏優勢の報道が出て、『それなら、まあ(投票に行かなくても)いいか』という人もいたのでは」とかわした。
また、自民、民主、公明の推薦の影響に関し、報道各社の出口調査結果を踏まえ「(各政党支持者への)浸透具合がどうだったのかという気は少しする」とする一方、「市政をスムーズに運ぶ点からも3党の与党体制は大事だ」と述べた。
久元氏には「守るべきものは守り、変えるべきものはどんどん変えてほしい」と求めた。
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一方、井戸知事は、久元氏について「非常に多分野にわたる市の仕事をきちっとリードしてくれるのではないか。県としても協力できることはしたい」と期待を込めた。
3党の推薦を受けながら接戦となった結果には「役人出身に対する信頼が以前に比べて弱まり、反対に民間の皆さんに対する漠然とした期待を呼んでいるのかもしれない」と分析。「よく市民の声を確認しながら、望ましい市政運営をするよう期待する」と話した。
県と神戸市が連携しながら優先的に取り組むべき分野には「規制緩和」を挙げ、「特区に関連する事業で、医療産業都市や再生医療関係、スーパーコンピューター『京』の民間活用という事柄が中心になる」と話した。