震災20年 自宅全焼、観戦が支えに 草創期からのJ1神戸サポーター
2015/01/16 16:51
草創期以降のグッズを手に震災当時を振り返る今碇七重さん。Jリーグ昇格時に着ていたユニホーム姿でスタジアムに駆け付ける=神戸市中央区東川崎町1(撮影・風斗雅博)
阪神・淡路大震災からの復興とともに歩んできたヴィッセル神戸を、神戸市灘区楠丘町3、団体職員今碇七重(いまいかりななえ)さん(39)は、草創期からサポーターとして応援し続けてきた。震災で自宅が全焼し仮設住宅で暮らす中、希望となったのが地元サッカークラブだった。17日には神戸市兵庫区のノエビアスタジアム神戸で開かれる「阪神・淡路大震災20年 1・17チャリティーマッチ」(神戸新聞社など主催)に駆け付け、20年の歴史をかみしめる。
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今碇さんは1993年のJリーグ誕生を機にサッカーに興味を持ち、「神戸にプロサッカーチームをつくる市民の会」に入会。ヴィッセルの活躍を楽しみにしていた短大2年の時、激震に襲われた。
同市灘区六甲町1の自宅は全焼。近くの六甲小学校へ身を寄せた。数カ月後、両親、祖父母と六甲アイランドの仮設住宅へ入居。狭い仮住まい、慣れない仕事に追われた。
飛ぶように1年が過ぎたころ、ヴィッセル躍進のニュースを耳にした。「行ってみようかな」。震災後、初めて訪れた競技場の熱気に心を奪われた。
母校の御影高出身でチームを引っ張る和田昌裕さん(49)の姿に「試合に足を運ぶたび、元気をもらった」という。Jリーグ昇格を決めたユニバー記念競技場の大一番は忘れられない。「地鳴りのような歓声でホイッスルが聞こえなかった」
ヴィッセルを通じて知り合った仲間は心の支えだ。「どこに住んでんの?」「仮設やねん」「おう大変やな」。震災を経験した者同士、同じ目線で語り合った。災害復興住宅に引っ越す際は「男手がいるやろ」とさりげなく手伝ってくれた。
ヴィッセルOBが結集するチャリティーマッチでは、ゴール裏から声援を送るつもりだ。「一人一人の名前に当時の記憶がよみがえる。震災はつらかったけど、20年間、ありがとうと言いたい」(伊藤大介)