寄り添い 支え合い
躊躇せず 誰かを応援

山本敬敏さん (50)
古着店経営/神戸市灘区

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寄り添い 支え合い
躊躇せず 誰かを応援

山本敬敏さん (50)
古着店経営/神戸市灘区

 これが神戸? 違うやろ。テレビを見て、思わず叫びました。

 あの日は古着の買い付けでアメリカのセントルイスにいました。ヘリコプターの映像が伝える震災の惨状が、自分の街とは思えなかったんです。けど、山の形で分かった。子どものころから見てきた六甲山やった。これが現実なんやと、がくぜんとしました。

 帰国してみると、三宮の2店舗は全壊していました。途方に暮れていた時、力をくれたのがお客さんの存在。休業の張り紙に寄せ書きを残してくれたり、食料を置いてくれたり。あのやさしさがあったから、店をやり直そうと思えたんです。

 それからの僕は、誰かを応援することに躊躇(ちゅうちょ)しなくなりました。米中枢同時テロの時も買い付けでシカゴにいて、空港で寝泊まりする旅行者に食料を配るボランティアをしました。再開した2店舗に加え、灘区ではチャリティー方式の古着店も始めました。売り上げの一部を動物保護団体などに寄付し、義援金と物資による東北支援も続けています。

 人の役に立てば、自分の気持ちも豊かになる。ボランティアって幸せをもらえるんですよ。(三浦拓也)


2014年5月19日掲載
写真撮影場所:

神戸市灘区永手町2、オレンジスリフティー