道家利幸さん (54)
近畿管区警察局災害対策官/神戸市北区
道家利幸さん (54)
近畿管区警察局災害対策官/神戸市北区
今、関西全域の警察が使う災害訓練施設の開設を大阪で進めています。この仕事が巡ってきたのは、私に与えられた使命だと感じています。
20年前、勤務していた長田署は激震地のど真ん中にありました。管内の家屋は半数が全半壊、921人が亡くなりました。直後に駆け付けると、署の南側で火の手が上がっていました。
「この街の人を助けなあかん」という本能でしょう。寸断された交通網の中、9割の署員が集まりました。でもわずかな機材では、どうすることもできないのが実情でした。私も倒壊した家屋から素手で母子を運び出しましたが、助けることはできませんでした。
混乱の中、当時の署長が優先させたのが被害把握でした。現場から署員を引き揚げさせると、一軒一軒歩いて不明者を把握させました。その情報は消防や自衛隊に提供され、応援部隊を現場に派遣するのに役立ちました。
あの震災では、人の命に関わる重い判断が警察に課せられました。災害現場で力を発揮できる後輩を育てるため、残りの警察官人生をささげたいと思っています。(小林良多)
神戸市須磨区妙法寺、兵庫県警機動隊