震える心 力に変えて
あきらめない気持ち 胸に

山内美加さん (44)
バルセロナ・アトランタ五輪女子バレーボール代表/徳島市

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震える心 力に変えて
あきらめない気持ち 胸に

山内美加さん (44)
バルセロナ・アトランタ五輪女子バレーボール代表/徳島市

 中2の時、故郷秋田で、津波などで104人が犠牲になった日本海中部地震(1983年)を経験したんですが、神戸市垂水区の自宅マンションで遭った阪神・淡路大震災は未知の揺れでした。
 高校卒業後、ダイエーのバレーボールチームに入部して丸7年になる直前のこと。ダイエーは三宮の店舗が全壊し、大打撃を受ける中、全社を挙げて被災地支援に懸命でした。
 チームの誰もが「バレーどころではないのでは」と思っていました。でも被災して苦しい会社やファンが、プレー続行を強く後押ししてくれたんです。
 アリー・セリンジャー監督も「われわれは絶対に優勝しなければならない」と話しました。迷いは消え、自然と一致団結しました。
 開幕したばかりの第1回Vリーグで優勝を決めたユニチカ戦は、2セット先取されてからの逆転勝ち。みんな泣いていました。「絶対にあきらめない」という一心でボールをつないだんです。ユニホームの袖には「がんばろうや WE LOVE♥KOBE」のワッペンがありました。
 思う存分バレーに打ち込み、五輪代表に2度も選ばれました。今は引退し、夫の故郷徳島でバレー教室や観光PRのお手伝いをしています。素晴らしい仲間と過ごした時間とともに、生涯忘れられない街。それが神戸なんです。(宮路博志)


2014年8月30日掲載
写真撮影場所:

徳島市元町1