黒田和生さん (65)
中華台北足球協会青少年発展部総監/台北市
黒田和生さん (65)
中華台北足球協会青少年発展部総監/台北市
揺れを感じたのは、当時監督をしていた滝川第二高校サッカー部の朝練に行くため起きようとしたころでした。東灘区の自宅マンションは無事でしたが、周辺の木造家屋はたくさん倒れました。交通が寸断されて登校できず、しばらく近所の小学校でボランティアをしました。
部員は全員無事でした。グラウンドにそろった時、「避難所になって校庭が使えない学校もある。公式戦があるか分からないが、サッカーができる喜びをかみしめてやろう」と話しました。生徒たちは再会を喜んでいましたが、先が見えず、不安そうでした。
1月の新人戦は中止になり、2~3カ月過ぎても避難所はなくならない。そんな時、何ができるかと考えたら、結局サッカーしかなかった。補欠の野球少年だった私の今があるのは、サッカーと出会えたから。苦しい時こそ、原点を大事にしようと思いました。
今、私は台湾協会でユース強化の統括職についていて、神戸に帰るのは年に数回。環境も文化も違う中の挑戦ですが、震災の時に部員に話した「サッカーができる喜び」は忘れていません。サッカーと向き合う日々をかみしめています。(中西幸大)
神戸市中央区八幡通2、磯上公園