村井雅清さん (64)
被災地NGO恊働センター代表/神戸市兵庫区
村井雅清さん (64)
被災地NGO恊働センター代表/神戸市兵庫区
顔が怖い? 確かによう言われます。
いつも怒っているわけちゃうねんけど、世の中には理不尽がたくさんある。災害は、それをあぶり出す。
僕はね、長田の靴職人だったんです。小さな工場があった町は焼け野原。それで、知人に「何か、手伝うことないか」と連絡した。これが始まりです。
知り合いのじいちゃんと孫が死んだ。葬儀もできず、行き場のない大小の棺を火葬場に運んだ。仮設住宅と復興住宅では孤独死が相次ぎました。
なんでや、なんで命が大事にされへんのや。ある日、気付いたんです。震災前は障害者にオーダーメードの靴を作ってました。障害の理由はみな違う。一人一人の個性を聞いて、一番しっくりくる靴を作る。被災者も抱える事情はみな違う。一人一人とどう向き合うか。ああ、根本は同じやと。
今、行政によるボランティアの管理が進んでいます。これでは市民社会が育たない。ボランティアのよさは画一、効率やなく、隙間を埋めること。被災者も支援者も十人十色。多様性があるから、ええんです。この根本をおろそかにしたら...。
あ、また怒ってる?
(聞き手・木村信行 写真・中西大二)
神戸市兵庫区中道通2