「法律、精神面で支えてもらった」明石歩道橋事故の遺族ら悼む 弁護団代表の渡部さん死去

2022/06/24 21:52

取材でインタビューに答える渡部吉泰さん=2013年、明石市内

 明石歩道橋事故で遺族弁護団代表を務めた渡部吉泰さんが67歳で亡くなった。数多くのいじめ自殺や過労死事件に関わり、被害者と共に闘う人権派弁護士だった。経験に培われた深い知見と温かな人柄に助けられた遺族や弁護士仲間からは、追悼と感謝の声が上がった。 関連ニュース 明石歩道橋事故20年取材の記録 映像録画用テープ「副署長に渡した」「でも録画はされていない」 2児を亡くした有馬さん 事故後に生まれた2児に「前向く力もらった」 明石歩道橋事故20年 明石歩道橋事故20年取材の記録(上)ビデオの有無、残る疑念

 事故から間もなく21年。2歳だった二男を亡くし、裁判で原告団長を務めた下村誠治さん(63)=神戸市垂水区=は「法律面だけでなく精神面でも支えてもらった」と感謝する。
 下村さんは北海道・知床半島沖の観光船沈没事故でアドバイザーとして乗客家族の支援する。「いつも参考に一言もらうだけで視界や考えがパッと広がった。まだまだ相談したかった」「他の被害者遺族とつながれたのは先生と出会えたから。今度は支えていくことが恩返しにもなるはず」と力を込めた。
 弁護団事務局長の佐藤健宗さん(63)=兵庫県明石市相生町1=は「温厚で控えめ。でも燃える心と、真の敵を追うにはどうすればいいか考える緻密さを持っておられた」と話す。
 珍しく声を荒らげたというのが、事故当時の明石署長、副署長の起訴を求め遺族が東京の最高検察庁に要請書を出した時。待合室で済まそうとされ「わざわざ皆で明石から来たのに、その対応はないだろうと怒っておられた」と振り返る。
 刑事訴訟では検察審査会が3度「起訴相当」としたが不起訴が繰り返された。法改正で全国初の強制起訴を実現させたが、最後は時効で免訴に。しかし「一度も渡部先生の気持ちがなえることはなかった。先生と一緒にできて良かった」と悼んだ。(松本寿美子)

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