亡き植樹者にちなむ「たもやん桜」 枝ぶり堂々、淡路で愛され60年 住民らが保存に一役
2022/04/05 05:30
開花したサクラの大木「たもやん桜」=淡路市尾崎
兵庫県淡路市尾崎の棚田でひときわ目立つサクラの大木が花を付けた。「たもやん桜」の愛称で地域に親しまれているソメイヨシノ。植樹者で、すでに亡くなった住民の名前にちなむ。傘状に伸び伸びと枝を広げる姿を一目見ようと、週末は多くの行楽客でにぎわった。
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約60年前、近くに住んでいた高田保(たもつ)さんが苗木を植えたのが始まり。30年後、高田さんが50代の若さで亡くなって棚田は荒れたが、サクラはその後も成長を続けた。
8年前、草木が生い茂り見えなくなっていたサクラに、地域美化に取り組む住民団体が着目した。メンバーが周りのササや雑木を切ると、高さ10メートルはある立派な姿が現れた。
根元部分の周囲は約3・8メートル。幹は5本に分かれ、棚田の斜面に沿うように枝を伸ばす。メンバーは「たもやん桜」と名付け、保存会を立ち上げた。看板を立て、斜面に階段や手すりを設置。駐車場を整備すると徐々に見物客が増えた。同会の小林則昭さん(73)は「サクラの名所として地域を元気付けるきっかけになれば」と話す。
2日は神戸から帰省中の高田さんの妹、中田照美さん(78)が立ち寄った。「こんなに大きくなったのは島の環境が良いから」と話し、「兄の名前を残してもらいありがたい。地元の活性化に少しでも貢献できればうれしい」と花を見上げていた。
県道31号、ムネ製薬近くの丁字路を東へ。案内看板あり。(内田世紀)