ニッカウヰスキー西宮工場が閉鎖へ 朝ドラ「マッサン」ゆかりの地

2022/02/15 20:55

2024年3月をめどに操業を停止する「ニッカウヰスキー西宮工場」=15日午後、西宮市津門飯田町(撮影・斎藤雅志)

 ニッカウヰスキー西宮工場(兵庫県西宮市津門飯田町)が、2024年3月に操業を終えることが15日、明らかになった。同じ敷地にあるアサヒビール西宮東配送センターも24年末をめどに業務を終了する。12年8月には隣接するアサヒビール西宮工場が撤退しており、市内からアサヒグループの生産拠点が姿を消す。 関連ニュース 坂本花織、NHK朝ドラが原点 トータス松本、朝ドラ出演「正直に言えば、ちゅうちょした」 濱田マリ「NHK朝ドラの台本見てニヤニヤ、ワクワク」

 ニッカウヰスキー西宮工場は1959年9月に操業を開始した。もともとはウイスキーを製造していたが、1998年に設備を仙台工場へ移転。現在はアサヒビールが飲食店向けに販売する「樽ハイ倶楽部」と「樽詰めハイボール」を生産し、年間生産量は約1万5790キロリットルに上る。
 ニッカは西宮にゆかりがあり、前身の大日本果汁を資金的に支えた大阪の資産家、芝川又四郎の別邸や果樹園が西宮・甲東園にあったという。
 又四郎は、ニッカ創業者の竹鶴政孝がスコットランド留学から帰国後に住んだ大阪・帝塚山の家の大家。政孝をモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」では、大家の邸宅として西宮市内の洋館がロケに使われている。
 アサヒグループホールディングス(HD)によると、配送センター(約8万4千平方メートル)では正社員39人と非正規社員9人が勤務。センターの敷地内にあるニッカウヰスキー西宮工場(約4200平方メートル)には正社員13人、非正規社員15人が勤めている。
 ニッカ西宮工場の生産機能はアサヒ吹田工場に移管され、ニッカの生産拠点は国内7カ所となる。関係者によると、西宮市には発表前、非公式に再編計画を伝えていたという。
 市商工課は「産業や雇用に穴が空くのは痛い」とする一方、敷地が広いため「跡地に関心を持つ事業者は多いのでは」と推測。マンションや商業施設が建てば学校の定員圧迫や交通渋滞が懸念されるため「事業用地として活用されるよう期待する」とした。(山岸洋介)

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