料理に合う日本酒 イタリア人社員がお薦め 御影塚町の神戸酒心館 認定資格取得「魅力を世界に伝えたい」

2022/06/17 18:34

「世界から来る人に日本酒の魅力を伝えたい」と話すメソレッラ・チンツィアさん=神戸市東灘区御影塚町1

 清酒「福寿(ふくじゅ)」の蔵元・神戸酒心館(神戸市東灘区御影塚町1)で、イタリア人の女性社員が英語、イタリア語の語学力を生かし、日本酒の魅力をPRしている。新型コロナウイルス禍で営業が制約された間も、日本酒の知識やテイスティングを学び続けた。外国人観光客の受け入れが再開された今、「お酒は日本の大事な文化。世界に紹介したい」と意欲を見せる。(津谷治英)  関連ニュース 【写真】環境に優しい日本酒「環」 神戸酒心館、真鍋淑郎氏のノーベル賞受賞祝う鏡開き 清酒「福寿」の蔵元 落語聞かせた「あやめの酒」楽しく酔える粋な味? 神戸酒心館で醸造、喜楽館支援の返礼品に

 イタリア半島中東部のマルケ州出身のメソレッラ・チンツィアさん(38)。日本のアニメにひかれ、大学で日本文化を学んだ。卒業後、神戸大に留学。その間に日本酒に出合った。
 「ワインはブドウの種類で味が変わるが、日本酒も米の種類、地域で差があり、深い。いろんな種類を飲みたい」と興味を持った。
 留学を終えていったん帰国したが、希望をかなえるため、5年前に再来日。酒類や関連食品の販売の他、和食レストランも手掛ける神戸酒心館がインバウンド(訪日外国人観光客)対応のスタッフを募集しているのを知り、2019年に入社した。
 店頭で接客を担当することが多かった。来店する外国人客の多さに「日本酒が世界で注目されている」と思った。20年以降はコロナ禍で入店数の制限や営業時間の短縮を余儀なくされ、苦戦が続いた。
 だが、チンツィアさんはくじけずに修業。ワインや日本酒の知識、テイスティング能力を問われるWSET(ワインとスピリッツの教育機関)の認定資格を取得した。元々食べることが好きで、子どものころからワインと料理の相性に配慮する食習慣になじんできた。「日本酒も、合う料理を提案するのが醍醐味」と笑顔を見せる。
 坂井和広営業推進部部長は「研究熱心で、外国人のお客さんの好みに合わせて提案してくれる」と期待を寄せる。
 現在は広報業務も担当するチンツィアさんは「まだまだ経験が浅いのでもっと勉強したい」と控えめ。昨年から、資源循環に配慮した新商品「環和」について理解を深め、環境と酒造りの調和にも興味を持っている。
 「日本酒を初めて飲む人に、自信を持って薦められるお酒を紹介していきたい」と目標を語った。

→「東灘区のページ」(https://www.kobe-np.co.jp/news/higashinada/)

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