落語を聞かせた日本酒って、どんな味? 今年入門40年を迎える桂あやめ(58)=神戸市兵庫区出身=が誕生日の今月、神戸酒心館(同市東灘区)で、醸造中の日本酒に自身の創作落語を聞かせた。コロナ禍に悩む神戸新開地・喜楽館(同市兵庫区)への寄付に対する、返礼品となる酒。「あやめの酒」と命名され、3月以降、寄付者のもとへ届けられる。(金井恒幸)
喜楽館はコロナ禍による緊急事態宣言を受け、2020年3~7月と21年4~6月、休館を余儀なくされた。現在でも定数の約半数の座席に制限しており、厳しい運営が続く。
寄付制度「タニマチ」は維持管理費に充てるためこれまで20、21年と2期にわたり募り、約1200人が支援を形にした。日本酒の返礼品は2期目からで、同館館長補佐の桂三ノ助が酔っぱらいの騒動記「替(かわ)り目」を聞かせた。演目名を瓶のラベルに採用し、珍しさもあって好評だった。
あやめは同館の利用促進委員を務め、さまざまな企画で客を呼び込んできた。選んだ創作落語はNHK大河ドラマ「平清盛」(2012年)に触発されてできた「女子会平家物語」。清盛の妻・平時子や源義経の母・常盤御前(ときわごぜん)など3人が現代の神戸で日本酒を酌み交わし、にぎやかに過去を振り返る。
当日は醸造タンクの前に赤い毛せんを敷いた舞台を用意。登場人物が平家物語冒頭の「祇園精舎の鐘の声…」をアイドルのまねで歌うなど、約30分にわたり声を響かせた。
「一層おいしいお酒になってほしいと願いを込めた。飲んだら楽しく酔えるお酒になっていると思います」とあやめ。「毎年違う落語家がお酒に噺(はなし)を聞かせる名物行事に育てたい。どんなお酒か味わいたい方にタニマチになってもらい、喜楽館に通うきっかけになればうれしい」と期待を込める。
お酒は「福寿」の純米酒(720ミリリットル、非売品)で、女性をイメージした赤色の瓶入り。1口1万円の寄付で1本贈呈する。タニマチには喜楽館の昼席が割り引きになる名刺100枚が進呈されるほか、入り口の芳名板に記載される。同館のホームページから申し込める。同館事務局(新開地まちづくりNPO内)TEL078・576・1218
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