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名門「舞子ホテル」売却へ 山電、運営子会社も清算 かつて「大正の海運王」の迎賓館

2022.03.07
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「大正の海運王」が迎賓館として建設した舞子ホテル=神戸市垂水区舞子台2

「大正の海運王」が迎賓館として建設した舞子ホテル=神戸市垂水区舞子台2

 2019年12月に営業を休止してい老舗ホテル「舞子ホテル」(神戸市垂水区)を所有する山陽電気鉄道(同市長田区)は7日、同ホテルの土地・建物を売却すると発表した。購入者や売却額は非公表としている。

 同ホテルは、もともと大正の海運王・日下部久太郎氏(岐阜県出身)が、海外からの賓客を迎える宿泊・接待所として1919(大正8)年ごろに建設した。白れんが造りの洋館、入母屋屋根と書院造りの和館で構成され、42(昭和17)年に「舞子ホテル」として営業を開始。63年、山電の子会社が営業を引き継いだ。

 明石海峡と淡路島を望む立地から華やかな社交場として歴史を刻み、結婚式場やレストランとしても好評だった。山電によると、目の前に高層のマンションができて眺望が失われたことや、婚礼の多様化などを背景に利用が減少。帝国データバンクによると、2013年1月期に約5億5千万円を売り上げたが、近年は債務超過に陥り、営業を休止していた。

 山電は、営業再開を目指して運営の引受先を探したが見つからず、運営子会社も清算。売却することにしたという。今月下旬の引き渡しを予定している。経費を差し引いた売却益として67億4千万円を2022年3月期連結決算に計上する。(西井由比子)