戦争当時の雑誌など展示 神戸で「語りつごう展」

2020/12/07 05:30

文化的な史料が並んだ企画展=妙法華院

 太平洋戦争開戦から8日で79年になるのを前に、企画展「兵庫の『語りつごう戦争』展」(神戸新聞社後援)が6日、神戸市兵庫区永沢町4の妙法華院で始まった。市民団体の有志らでつくる実行委員会が主催し、43回目。今回は、文化活動が戦争を支えた事実に焦点を当て、当時の雑誌や書籍などの文芸史料を集めた。訪れた人々は貴重な「語り部」と向き合い、平和への誓いを新たにした。(佐藤健介) 関連ニュース 映像写真部員、初めてのフィルム撮影 36枚撮り1650円!…シャッターを押せない 一枚一枚、刻む思い出 こども園の教諭が園児の尻や頭たたく 「トライやる」の中学生が目撃、学校に通報 神戸・須磨 松方ホールで「スーパーストリングス」公演 佐渡裕さんゆかり、サプライズ登場も 神戸

 展示された新聞や雑誌では、国の発表通りに日本軍の「活躍ぶり」を伝える記事が目立つ。旧満州(中国東北部)進出の広報物として兵士の進撃を捉えた写真誌や、満州開拓に渡った長野県大日向(おおひなた)村(当時)の住民を題材にした演劇本も紹介。時世に迎合した「国策落語」のパネルには、戦力増強に向けて男児出産を奨励した噺(はなし)が掲示されている。
 「愛国」と銘打った和歌や楽曲も紹介している。「御楯(みたて)となりて捨てつる身と思へば軽き我が命」と自己犠牲を賛美する百人一首の句も。歌謡集には作曲家の古関裕而(ゆうじ)さんが手掛けた軍歌「露営の歌」などが収録され、レコードを聴ける。
 命を落とした幼子を描いた童話「ちいちゃんのかげおくり」を掲載した教科書のコピーや、フィリピンで帰らぬ人となった兵士の遺書、平和を祈る言葉をしたためた色紙も並ぶ。
 主催した市民団体「兵庫の『語りつごう戦争』展の会」代表の上野祐一良さん(82)=同市=は「自由闊達(かったつ)であるはずの文化が、戦争へと駆り立てる精神的支柱に据えられた。こうした歴史から学ぶことは、戦争を二度と起こさないために必要だ」と話した。
 10日まで。無料。午前10時~午後6時(最終日は午後4時半まで)。各日午後1時半から戦争体験者らが講演(8日は午後6時から)。

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