神戸名物「野球カステラ」が復刻 老舗菓子店が実演販売

2020/12/08 05:30

復刻された「野球カステラ」

 知る人ぞ知る神戸名物「野球カステラ」を大正初期から焼いていた老舗菓子店「本高砂屋」が、数十年ぶりに復刻した。製造終了後も大切に保管してきた焼き型を使って手焼きする。20日まで神戸元町本店(神戸市中央区元町通3)で限定販売しており、店頭では職人の実演も見学できる。(上杉順子) 関連ニュース 神戸の隠れた名物「野球カステラ」、実は100年の歴史があった 特命係長がルーツを探る 破綻した神戸の人気洋菓子店、看板商品を復刻 フーケ「ザッハトルテ」 62年経っても大人気 神戸の「人工衛星饅頭」

 野球カステラは野球道具をかたどった焼き菓子で、およそ1世紀の歴史があるとされる。本高砂屋には、1921(大正10)年に「野球」を商標登録し、同時期に野球カステラを販売したとの記録が残るという。杉田肇社長(67)は「子どものころに食べた。昭和30年代ごろまでは販売していたのではないか」と話す。
 職人の高齢化などから他の菓子店も次第に撤退し、市内で現在扱っている店は10店程度とみられる。
 地元の隠れた魅力発信に取り組むNPO法人「Unknown Kobe(アンノウン コウベ)」は、かねて野球カステラに注目。型が保存されていることを知り、神戸煎餅協会と共に復刻を働き掛け、プロジェクトが動きだした。
 当時のレシピを再現するため、生地の材料や配合を昔の職人から聞き取り。味の記憶がある杉田社長が試食を重ねるなど、数カ月をかけて、今月5日に販売にこぎ着けた。
 店頭では職人が、卵と砂糖、小麦粉、蜂蜜を練った生地を型にはさみ、裏表を返しながら約3分手焼き。味は現代風に少しアレンジしたといい、焼きたてを頬張ると、外側はさっくりとして中はふわふわ、優しい甘みが口に広がる。
 杉田社長は「復刻を機に“元祖”の味を知ってもらえたらうれしい」と話している。
 形は、野球帽▽バット▽ボール▽キャッチャーミット▽グラブ▽インジケーター(審判用具)-の6種。130グラム入り袋432円、260グラム入り袋864円。実演は午前11時ごろから、生地がなくなり次第終了。同店TEL078・331・7367

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