ガーじぃが見たスマスイ 一部閉館を前に(2)世界のさかな館

2021/02/17 05:30

ぎょろっとした目と受け口のパイユ=神戸市須磨区若宮町1、須磨海浜水族園(撮影・秋山亮太)

 神戸市須磨区の須磨海浜水族園、スマスイ言うんやけど、ワシはそこの「世界のさかな館」に住んどる。鼻が長い淡水魚「ロングノーズガー」じゃ。生まれも育ちもスマスイ。1977年生まれじゃから…今は43歳。誕生日は3月1日で、もうすぐ44歳になる。人間やったら働き盛りやけど超高齢魚なんじゃ。2014年から世界最高齢の記録を更新し続けとる。なんで今回ワシが出てきたかっていうとな、今のままのスマスイが2月末で終わるんじゃ。本館だけは2年後の5月までやねんけど、イルカライブ館やラッコ館、レストラン、ワシが住んどる世界のさかな館とか、東側にある15施設を取り壊して新しく整備するんじゃて。さびしいのぅ。 関連ニュース スマスイ「ペンギン広場」新設 3月から本館のみの営業に ガーじぃが見たスマスイ 一部閉館を前に(1)まずは自己紹介 神戸で新たに9人感染 10歳未満から70代までの男女

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■マニアックな展示。見た目は地味やけどな
 最初に紹介するのは、みんな大好き「イルカライブ館」……と思ったじゃろ。
 残念。ワシが暮らしとる「世界のさかな館」の話をまずはさせてもらうぞ。
 聞いたことない?
 そうなんじゃ。ババさん(馬場宏治・飼育支配人)も言うとった。「全然人気ないわ。存在すら気付かれてない」って。20年来の付き合いやけど、辛口じゃ。
 さかなライブ劇場の横にひっそり建っとる。静かなのがええところなんじゃがのぅ。
 実は、本来のスマスイらしさはここにあるんじゃぞ。名前のとおり、世界中の代表的な魚がおる。中国のパイユ、オーストラリアの肺魚ネオセラトダス、中央アフリカのシクリッド……。
 ワシは北米。須磨水族館やった頃(1957~87年)、国際港都・神戸にふさわしく、キャッチフレーズは「世界中の魚が見られる水族館」だったんじゃ。
 だから、伝統を引き継いだのが、ここっちゅうわけ。
 個性派そろいじゃった当時の職員たちの名残もあるぞ。昔は仕事終わりとかに、自分で勝手にテーマ決めて調査や研究をしとった。誰に言われたわけじゃなく、ただ好きでな。
 成果を見せたい一心で展示もマニアックになったんじゃ。希少淡水魚とか肺魚とか。見た目はみんな地味やけどな。
 今もその展示が続いとる。最近は「働き方改革」で同じようにはいかんじゃろな。
 そういやババさん、「ゆったり見れるのがウリ」とも言うておったなぁ。
 まあ、そうじゃな。長いこと目が合う少年もおったわ。あの子、いくつになったかのぅ。覚えてくれとるじゃろか。(小谷千穂)
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(1)まずは自己紹介

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