ソロでも楽しい夏休み(3)古書店めぐり 時空を超えた旅へ
2021/08/18 05:30
7店舗が書棚をシェアする「神戸元町みなと古書店」=神戸市中央区元町通4
神戸・元町(神戸市中央区)には古書店が多い。ページを開き想像力の翼を広げれば、コロナ禍でも即座に“旅”に出られるのが読書のいいところ。絶版本も並ぶ店では、タイムトリップだってできる。密にならない単独行で、個性あふれるお店をはしごするとしよう。
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スタートは神戸元町商店街の「神戸元町みなと古書店」(元町通4)から。「こうべまちづくり会館」1階にあり、市内7店舗が共同運営するので、品ぞろえも豊富。代表者の西川和秀さん(61)は「古本屋は入りにくいと言われるが、ここは明るく、オープンな雰囲気。親しみを持ってもらい、個人店にも足を延ばして」と話す。近くには別の8店舗による「神戸古書倶楽部」(同)もある。
古本屋に飛び込む勇気を得た。腕試しに、数十歩先の西川さんのお店「サンコウ書店」(同)を目指す。
ごく普通の店構えだが、「武道関係の充実度は日本有数かも」という意外な側面が。7、8年前から収集し、今では千冊近く、雑誌も含めれば2千冊はあるという。柔道、剣道や空手はもちろん、中国武術、スポーツチャンバラ、果ては忍術まで。読破して忍びの術を会得できるかどうか、それはあなた次第です-。
次は東に約300メートル、路地裏の「花森書林(はなもりしょりん)」(元町通3)へ。姉の森本恵さん(41)と、弟の頓花(とんか)慎太郎さん(37)が営む。古雑貨も扱い「本と一緒に何でも買い取り、並べているだけ」(恵さん)というが、センスの良さが随所に。恵さんは学生時代から付近の店でアルバイトし、20代半ばにはトアウエストで花森の前身「トンカ書店」を開いた筋金入りの古書店好きだ。
最後に南京町・西安門そばの「うみねこ堂書林」(栄町通2)へ。店主の野村恒彦さん(67)は探偵小説好きが高じ、県職員から転身した。店内にはハヤカワ・ポケット・ミステリ、今は亡きサンリオSF文庫、別冊宝石など数万冊がぎっしり。作家に知己も多く、神戸出身の横溝正史さんとは、晩年に年賀状をやりとりし、没後、中央区東川崎町に生誕地碑の建立を提案して実現させた。国内外の作品に造詣が深く、飛沫(ひまつ)防止カーテン越しに聞くこぼれ話は、時間を忘れさせてくれた。(上杉順子)
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