地面にでっかい黒板、まちなかにアート空間 落書きオッケー、子どもら自由に「創作」 神戸・長田

2021/09/14 05:30

地面が黒板になっているユニークな広場=神戸市長田区駒ケ林町2、二葉じぞう広場

 神戸市長田区南部の駒ケ林地区に、地面が巨大な黒板になっているユニークな広場がある。かつては地元自治会の建物があったが、住民らで話し合い、市が進める「まちなか防災空地(くうち)事業」の一環で住宅の密集を防ぎ、誰でも黒板を自由に使える場所に生まれ変わった。10月9日からは、この広場を含む地域一帯が会場となるアートイベント「下町芸術祭」が開かれる。(安福直剛) 関連ニュース 公共ホールの将来に危機感 計画中止、用途見直し…「育む展望見えなくなっている」 コロナ感染で学級閉鎖、割れる対応 異なる基準、厳しい神戸が突出 コンテナ飲食店、開放的に27店舗「淡路シェフガーデン」 逆境に活路、踏ん張る店主ら


 同区駒ケ林町2の「二葉じぞう広場」。周辺は民家が密集しており、地元自治会などが阪神・淡路大震災の教訓を生かすことを模索。火災の延焼を防いで住民の一時避難場所にもなる防災空地として、2014年、市の助成を受けて整備した。
 黒板を敷くことは、駒ケ林地区を拠点にアーティスト支援活動を続けるNPO法人理事長、小國(おぐに)陽佑さん(37)が発案した。約4・5メートル四方で、普段はチョーク持参の子どもたちが自由に落書きをするほか、地域のイベントでは巨大すごろくを描いて住民同士が交流したり、芸術祭のアート空間として利用したりする。
 黒板には少し勾配があり、字や絵は雨水で自然に消える。小國さんによると「悪質な書き込みは見たことがない」という。新年度、実家を離れることになったとみられる学生が「お母さん、今までありがとう」と書き残したり、被災地交流で訪れた東北の人たちが「一緒に頑張ろうな」と記したり。小國さんは「アナログ版のSNS(会員制交流サイト)ですね」と笑う。
 黒板の周囲には、黄色い“額装”が施してある。小國さんによると、黒板に書き残された文字や絵そのものがアート作品だという。「四つんばいになって必死に何かを書いている子どもの姿を見ると、うれしくなります」と手応えを感じている。
 下町芸術祭は10月9~24日に開催。同広場には彫刻作品が展示される予定。

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