トランスジェンダーへの差別、大学生がミニドラマに 甲南大生「SNSでの攻撃、残酷さ描いた」
2022/03/01 05:30
女子トイレを使用するか迷うトランスジェンダー女性を描いた動画(甲南大学提供)
出生時の性別と自認する性別が異なるトランスジェンダーの人に対するインターネット上での差別を解消しようと、甲南大学(神戸市東灘区岡本8)社会学科の学生有志が人権啓発動画を作った。学生は「見た人が身近な人権問題に気づくきっかけを提供できれば」と期待を込める。(綱嶋葉名)
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人権侵害の解消に取り組む大阪府府民文化部人権擁護課が甲南大に動画作りを提案。ジェンダー問題に関心を持つ学生5人が社会学科講師、関めぐみさんの指導を受けながら、台本作成や出演、撮影、編集などを全て行い、仕上げた。
タイトルは「寄り添う言葉・引き裂く言葉~SNSで排除されるトランス女性」。トランスジェンダーの中でも女性として生活を送る人に焦点を当てた。
会員制交流サイト(SNS)をよく使う中高生や大学生を視聴者として想定。性的マイノリティーの当事者は身近にいることや、差別的な書き込みの怖さを伝えることにこだわった。
約15分のミニドラマと、約2分のショート版をそれぞれ作成。大学生活を送るトランスジェンダーの女性が、女子トイレから出てくる写真を「気持ち悪い」という言葉とともにSNSに投稿されるなどし、思い悩む姿を描く。誹謗(ひぼう)中傷に耐えかねた女性が警察に相談し、投稿者に制裁が加えられる結末だ。
脚本、主演、監督などを担当した4年の田中優奈さん(22)は「トランスジェンダーの女性に嫌悪感を持つ人の感情をどう描くか悩み、みんなで激しく議論をした」と振り返り、「主人公がSNS上で見当違いな攻撃を受ける残酷さを描けたと思う」と話した。
動画は今後、大阪府の公式ユーチューブなどで配信を予定している。