「美大も芸大も出てない」書道美術家 国内外での活動に評価、英王立美術家協会名誉会員に
2022/06/09 05:30
英国王立美術家協会の会員証などを手にする高橋富子さん=三木市
書道美術家の高橋富子さん(79)=兵庫県三木市=が、国内外の展覧会で水墨画や日本画などの芸術活動を評価され、英国王立美術家協会(RBA)の名誉会員の称号を得た。「美大や芸大を出たわけではないけれど、子育て後の努力が実を結んだ。こういうこともできると誰かの励みになれば」と話す。(小野萌海)
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高橋さんは、40代から本格的に書道や水墨画を学び、現在は教室も開く。2020年には、08年に始めた源氏物語全巻の筆写を達成し、「今後はのんびりしよう」と考えていたところ、海外の展示会への出品依頼が舞い込んだ。
自身の作品が美術雑誌で特集され、著名な評論家の評価を得たことで、アートイベントを手掛ける会社から声が掛かった。京都やイタリアでの文化交流を目的とした展覧会で、芸妓(げいこ)を描いた「舞」を披露した。
同社の推薦によって「英国王立美術家協会(RBA)」の名誉会員に認められた。RBAは、1823年に設立された権威のある美術団体で、過去には印象派を代表する画家クロード・モネも名誉会員だったという。英国では約100人、日本では約200人が在籍する。
4月に東京で開かれた授与式に出席した高橋さんは「本当に私でいいのかしらという不思議な気持ちと同時に、文化交流に貢献できてうれしい」とほほえむ。
今月には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)パリ本部である「国際平和美術展」で、ボタンと姫路城を描いた水墨画を披露し、8月には、英国の展覧会にも出展する。
高橋さんは「筆を置こうと思ったこともあったが、諦めなくて良かった。コロナ下でも作品は世界を渡り、外国に行ってみたいとパワーをもらえた。次は皆さんの前で水墨画を描くところを披露してみたい」と意欲を示している。