けがで出場断念、仲間を鼓舞して高校女子野球V 神戸弘陵の小林主将「将来は柔道整復師に」

2021/08/28 05:30

優勝メダルを手にする小林芽生さん=赤穂市役所

 兵庫県西宮市の甲子園球場での決勝が初開催された全国高校女子硬式野球選手権大会で優勝した神戸弘陵3年の小林芽生(めい)主将(17)=赤穂市出身=が古里を訪れ、母校の教員らにあいさつするとともに喜びを語った。膝のけがで大会出場はかなわなかったが、三塁ランナーコーチとして仲間を鼓舞した。「夢がかない、うれしかった」。念願の栄冠を手にし、笑顔を見せた。(坂本 勝) 関連ニュース 史上初、甲子園で女子高校野球決勝 神戸弘陵がV 「いつかプロ球団職員に」19歳女性スタッフ、選手とともに夢を追う 「あんな言葉、なかなか出てこないよ」 記者もうなった“走る詩人”田中希実語録


 小林さんは育英高校の硬式野球部で活躍した兄将大(しょうた)さん(22)の影響で小1の時に赤穂西野球少年団に入り、野球にのめり込んだ。6年時は3番打者で投手を務め、橋本悦次副団長によると、打率3割5分8厘、19打点で打撃も群を抜いていた。
 赤穂西中では軟式野球部に入り、3年時は主将を務める。男子に交じっても元気ぶりは目立ち、「全力疾走」「全力発声」を合言葉にしたチームで全員野球の中心になった。「県内の高校で野球を続けたい」と神戸弘陵に進み寮生活を送った。石原康司監督には「生活の乱れはプレーに現れる」と指導され、あいさつや掃除を怠らなかった。
 一方で中学2、3年時に両膝をけがし、不安を抱えながらプレーを続けていた。二塁手として4強入りに貢献した今春の選抜大会後、異変を感じた。右膝がぐらついて外れるような感覚が続き、前十字靱帯(じんたい)断裂と診断された。「また前十字が切れ、もうスポーツはできないと医師に言われた」。甲子園での決勝を制する夢を共に描いていた同級生に打ち明けた。涙をこぼす姿に全員が泣いた。
 大会では「前向きな声を掛けよう」と笑顔を絶やさず、三塁コーチの役割を全うした。「頑張ってきて良かった。皆が同じ目標に向かっていく大切さを教わった」。一丸となって優勝したチームの精神的支柱が小林さんだった。
 野球は大学でも続けたかったが、きっぱり諦めた。柔道整復師を目指し、専門学校に通う予定だ。「けがを経験しただけに、患者に寄り添っていける人になりたい」。感謝の気持ちを笑顔で示した。

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