藤井五冠らの熱い戦い、龍野産の畳が支えます 名古屋の将棋対局場で採用、高床式で配置自由に

2022/07/10 05:30

名古屋将棋対局場の開設初日。藤井聡太五冠(左手前)のほか、隣で師匠の杉本昌隆八段の対局もあった=6月22日、名古屋市中村区(日本将棋連盟提供)

 兵庫県たつの市の畳関連の機械メーカー「極東産機」の製造した畳が、将棋の藤井聡太五冠(19)の地元・愛知県に開設された「名古屋将棋対局場」に敷き詰められた。「高床式ユニット畳『望(のぞみ)』」で地上100メートル超の高層階に84・5畳分。藤井五冠はこけら落としのA級順位戦で1勝を挙げ、最年少名人奪取に一歩近づいた。龍野産の畳がトップ棋士の勝負を縁の下で支える。(直江 純) 関連ニュース 「藤井聡太論」出版、谷川九段に聞く 「彼は将棋の真理を求める気持ちが強い」 谷川浩司17世名人に永世名人推戴状「将棋界の発展、会館建設へ全力尽くす」一問一答 女流王位戦の舞台、塩田温泉とは 姫路の奥座敷、地元の名産品でおもてなし


 新対局場はJR名古屋駅前の高層ビル「ミッドランドスクエア」25階。日本将棋連盟がトヨタ自動車から無償提供を受けた。東京、大阪に続く第三の常設拠点で「天空の対局場」と異名が付いた。
 極東産機は畳も製造する。ユニット畳は合板製の箱を組み合わせ、天然イ草か合成樹脂の畳表を載せる。設置後も配置を変更しやすく収納庫にもなる。家庭向けにも人気の商品という。
 同社は対局場で維持管理しやすい合成樹脂を薦めたが、将棋連盟は天然イ草を選んだ。名古屋城を見渡せる対局場は開設前から注目を集め、畳の設置作業は地元民放局で放映された。フロアにはイ草の香りが充満したという。
 こけら落としの対局で、愛知県瀬戸市在住の藤井五冠は連盟会長の佐藤康光九段(52)に勝利。「地元で対局できるのはうれしく思った」とコメントした。
 対局開始時には、20人以上の報道陣が将棋盤を取り囲んだ。同社の営業担当者は写真を見て人数に驚きつつ「少なくとも1枚200キロまでの重さに耐えられる。この人数ならまず大丈夫」と話した。
 名人位の最年少記録は谷川浩司17世名人(60)の21歳2カ月。藤井五冠が更新するには、まず今期のA級で優勝する必要がある。天空の高床式畳を舞台に、どこまで高みに上り詰めるのか。ファンの期待は高まる一方だ。

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