オミクロン株、国内で年明け流行か 「デルタ株より重症化しにくく」 水際対策「甘いとしか言いようがない」
2021/12/09 20:59
関西福祉大の勝田吉彰教授
国内でも感染者が出ている新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」。現状では未解明な部分が多いが、重症化しにくいとされる一方、感染力が強く、ワクチン接種の効果が薄れる可能性も指摘されている。第6波の到来に備え、兵庫県内の専門家2人に見解や対策を聞いた。
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感染症に詳しい関西福祉大の勝田吉彰教授は「確実なことはまだ何も言えない」とした上で、南アフリカでの状況を踏まえて「増殖のスピードが急速で、感染力は非常に強そうだ」と警戒する。一方、同国のある病院では、デルタ株の最盛期に比べて死亡率が半減以下になっているといい、「重症化しにくい可能性がある」とみている。
今後、全国で進む3回目のワクチン接種の効果については「多少低下する可能性はあるが、ゼロにはならない」とする。デルタ株の流行当初も同様の懸念があったが、結果的に重症の予防効果はほぼ変わらなかったという。その上で「肥満や持病があるなどリスクの高い人は早めに打った方がいい」と呼び掛けた。
国内での流行予測について、アフリカから欧州経由で広がる可能性があるとし「すぐではないが、年を越してから流行するかもしれない」と警鐘を鳴らした。
生活での注意点では、手洗い、せきエチケット、密の回避のほか、換気の重要性を強調。「海外で廊下を隔てた部屋同士でうつった報告もあり、空気を介して広がる可能性がある。自宅、職場、飲食店では寒くてもできるだけ換気を」と訴えた。
神戸大大学院医学研究科の岩田健太郎教授は「今は情報量が少ないが、最悪の事態に対応できるよう準備しておくべき」とした。国内のモニタリング強化や、市中感染が見つかった際の対策の必要性を説いた。
第5波では全国各地に拡大したことに触れ「飲食店の制限はあったが、人の移動について、ほとんどお願いだけだった。大阪と兵庫の間でも伝播を防ぐ試みがほぼなかった」と振り返る。「国レベルで保健所をまたぐ計画を立て、流行が起きた地域内で抑え込まないといけない」と訴えた。
国の水際対策では今月、国際線新規予約を巡って混乱が生じ、「準備態勢が甘いとしか言いようがない」と批判。ワクチンの追加接種について「どれだけ資するのかまだ分からないが、少なくとも6カ月後に打ってはいけない理由はなく、8カ月と言わず、どんどん接種を」と求めた。(井川朋宏、高田康夫)