新型コロナウイルスの第4波で、兵庫県内では新規感染者数が減少傾向に転じたものの、現在も千人以上が入院・療養生活を送る。比較的若い世代でも重症化するケースが相次いで報告される中、コロナによる肺炎で死を意識するまでに容体が悪化し、その後回復した県内の50代男性会社員が入院生活を振り返った。苦しみの日々を経た今、マスク着用、手洗い、うがいなど、小さな注意の積み重ねの大切さを実感している。(佐藤健介)
異変があったのは、4月中旬。37度台の発熱に加え、胸の周りがくすぐられるような未経験の感覚を覚えた。PCR検査の結果は陽性。大人数での会食などの場は避けており、「まさか感染しているなんて」と驚いた。
コンピューター断層撮影(CT)検査で肺炎と診断された。病床の逼迫で入院する医療機関が見つからず、ホテルに隔離された。
熱は40度まで上がり、指先で血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターの数値も正常値(99~96%)を下回った。診断が伝わっていなかったのか、看護師は数値を見て初めて肺炎と知り、慌てて入院先の手配に動いた。「保健所がパンクしている」。不安は募った。
中等症の患者を受け入れる病院へ移ったのは、陽性判明から4日後。肺の炎症を抑えるためステロイド点滴を打った。熱は下がったものの、呼吸機能は低下。高流量の酸素吸入器を使っても、血中酸素濃度は70%台に落ち込んだ。
学生時代からアメリカンフットボールなどさまざまなスポーツに打ち込み、体力に自信があった。重い基礎疾患もない。だが、コロナは牙をむいた。息苦しさに襲われ、うなり声を上げながら耐えた。陸にいながら、水におぼれているようだった。医師は重症者向け医療機関への転院を要請したが、かなわなかった。
「一生、治らないのか?」「どこに行くにも酸素タンクと一緒の人生が待っている」-。つらい想像だけが頭をよぎり、涙をこぼした。「つらい、しんどい、悲しい、情けない…。幻で命の“終着駅”が見えた」
点滴治療が奏功して炎症が引き、酸素吸入器が取れた時、入院してから半月近くがたっていた。
◇
検査はしなかったが、医師は変異株を疑っていた。退院時、「感染力が非常に強く、若年者でも急速に重症化しやすいのが特徴。命を落とす可能性はあった」と告げた。
5月上旬から職場復帰。スポーツで鍛えた脚の筋肉はやせ落ち、歩きにくくなった。集中すると息を止める癖があり、血中酸素濃度が下がって頭がくらくらする時も。心労で寝込んでいた高齢の母も感染し、一時入院した。
コロナが重症化しやすいのは高齢者だとされており、感染が疑われた際は一瞬、PCR検査を受けたふりをしようかとも思った。「もし検査しなかったらウイルスをまき散らしていたし、自分自身も道端や職場で倒れていたかもしれない」と話す。
その上で「コロナは休んでいる間にも悪化する。風邪などの体調不良を感じたら、休むだけでなく早くPCRを受けてほしいし、家族や上司も勧めてほしい」とPCR検査の重要性を強調する。
療養生活の支えは家族だった。子どもは入院先に「パパまってるよ」とメッセージ付きの絵を送ってくれた。家族の存在のありがたみをかみしめながら、男性は語る。
「マスク、手洗い、目の粘膜保護、食事や人と話す際の飛沫対策…。小さな積み重ねが自分と、周りにいる大切な人たちの命を守るのだと実感している」
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