今秋?4年後?「ワールドマスターズゲームズ」会期決まらず 組織委の延期方針に国際協会が「待った」

2022/01/05 19:25

神戸新聞NEXT

 今年5月に兵庫県などで1年遅れでの開催が予定されたが、新型コロナウイルスの感染拡大で再延期された生涯スポーツの国際大会「ワールドマスターズゲームズ(WMG)2021関西」の日程調整が難航している。感染の収束が見通せず、関係者の間で今秋開催と2026年5月開催の2案に割れている。大会は関西を中心に国内外の約5万人が参加し、宿泊や観光で1400億円以上の経済効果を見込む一大イベントだが、会期が決まらない異例の事態になっている。(古根川淳也、石沢菜々子) 関連ニュース 生涯スポーツ国際大会「ワールドマスターズ」再延期 26年5月に組織委決定 「選手交流あってこそ」ワールドマスターズ延期、選手や自治体仕切り直しへ ワールドマスターズゲームズ 1年程度延期を発表

 大会は13年、井戸敏三前兵庫県知事が連合長(当時)を務めていた関西広域連合が誘致し、関西での開催が決定。大会組織委員会は経済波及効果を1461億円と試算。新型コロナの感染拡大でいったん22年5月開催に延期されたが、21年10月末に再延期が決まった。
 大会組織委は4年後の26年5月に延期する方針だが、会期の決定権を持つ国際マスターズゲームズ協会(IMGA、本部・スイス)が「22年秋」を主張。陸上男子棒高跳びの元五輪金メダリスト、セルゲイ・ブブカ会長が「22年にIMGAの大会がなくなる。コロナの状況をもう少し見極めたい」と異を唱えたという。
 両者の協議で結論が出るのは3月以降の見通しだが、今秋の開催は難しい状況だ。中塚則男事務局長は「今から秋の開催準備をするのは不可能。26年5月がベストだとIMGAにも理解してもらいたい」とする。
 11競技15種目が予定されていた兵庫県にも影響が出ている。県実行委員会(事務局・県教育委員会)は11人いた専従職員を8人に減員し、関係市町と新たな会場や日程を固めた上で4月から休眠状態に入る予定だった。だが、会期が宙に浮いて身の振り方が決まらず、ある市の担当者は「26年5月はずいぶん先。会場を引き受けるかどうか、競技団体とも議論しないと返答できないが、正式な連絡がない」と困惑する。
 6競技を予定していた神戸市は、JR元町駅前などに設置していたカウントダウンボードやポスターなどをいったん撤去した。リハーサル大会を開くなど準備を進めてきた末の延期に、担当職員は「残念としかいいようがない」と肩を落とす。現時点で神戸での競技にエントリーしている約3千人は国内選手ばかりといい、「出場予定者は海外の人と競技し、たたえ合うのを楽しみにしている。大会には経済効果を狙う目的もあり、それが果たせないのであれば26年への延期もやむを得ない」と話した。
【ワールドマスターズゲームズ(WMG)】 おおむね30歳以上なら誰でも参加できる世界最大規模の生涯スポーツの大会で、関西大会は関西2府4県と福井県、徳島県、鳥取県、岡山県で開催する。陸上競技や自転車、水泳、ボウリング、綱引きなど35競技59種目を予定し、海外2万人、国内3万人の参加を目指す。夏季五輪の翌年に開催するのが通例。

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