東播磨のため池に139羽ものコウノトリ飛来 若鳥中心、格好のえさ場に
2022/02/26 06:00
水深が浅くなったため池で魚を食べるコウノトリ=1月19日、明石市大久保町西島、大池(いなみ野ため池ミュージアム運営協議会提供、圓山嗣夫さん撮影)
毎年秋冬になると兵庫県の東播磨地域(加古川、高砂、明石市、稲美、播磨町)のため池に飛来するコウノトリが、2021年度は過去最多を更新、初めて3桁の139羽となった。縄張りを持たない若鳥が中心で、水を抜いた池が格好の餌場に。特に国内で昨年巣立った0歳の個体は、全体の9割近くが確認された。
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「いなみ野ため池ミュージアム運営協議会」(事務局・東播磨県民局)が、市民からの目撃情報を集計している。確認数は年々増加し、20年度の93羽を大きく上回った。昨年12月には、加古川市志方町のため池に一度に64羽が集まった。
139羽の年齢は0歳が最多の53羽。0歳は現在、野外全体で59羽いる。続いて1歳29羽、2歳23羽だった。年齢は足輪で分かる。
コウノトリは、繁殖相手を見つけるまで餌を求めて遠方へ飛んでいく習性がある。生き物が減る秋以降、東播磨のため池は補修点検のために水を抜く「かいぼり」が行われ、魚などが捕りやすくなる。
野外の個体数は京都府や福井県生まれを含め現在約250羽で、営巣地が集中する但馬地域は飽和状態。昨年、淡路市で但馬以外では県内初となる営巣、ふ化につながったが、さらなる繁殖地の拡大が求められている。野生復帰の普及啓発に取り組む全国ネットワーク「日本コウノトリの会」(豊岡市)の佐竹節夫代表は「農業の活性や河川整備など繁殖できる環境づくりにつなげてほしい」とする。
一方で、昨年1月には稲美町で片脚を失った個体が保護されるなど、死傷事案も増加。住宅街や臨海部に工場がある東播磨は里地里山に比べてリスクが高い。明石市では同12月と今年1月、電線衝突などが要因とみられる死骸が見つかった。(若林幹夫)