港町の盛衰 3世代家族に重ね 劇団「PM/飛ぶ教室」5年ぶり本公演 神戸で6月3~5日

2022/05/27 13:03

遊覧船上で行われた初演時の一場面(劇団提供)

 劇団「PM/飛ぶ教室」が5年ぶりの本公演を6月3~5日、神戸アートビレッジセンター(神戸市兵庫区新開地5)で行う。題名は「港でカモメがやすんでる日はね、千帆ちゃん~ツヤコばあちゃんのこと」。3世代の家族を軸に、移り変わりゆく港町・神戸の姿をモチーフにした作品だ。(田中真治) 関連ニュース 街のにぎわいづくりへ全国初、歩道にコンテナ設置「活用して」 今秋、大丸神戸店前 孤立する妊婦支援を「いのちのドア」永原代表、知事と面談 ホストファミリー制度など提案 身長1・8m、体重約50kg 紙でも立派な「鉄」人は、まちが1年かけ作り上げたヒーロー

 元は2019年に神戸港の遊覧船で上演した企画。クルーズの時間に合わせた40分ほどの作品だったが、「歴史をもっと書き込み、神戸の劇場で再演するのが念願だった」と座長で作・演出の蟷螂襲(とうろうしゅう)(63)は話す。
 主人公の千帆は看護師になって3年目。亡くなった祖父のように神戸港の水先人になりたいと父に訴え、祖父のミナトに寄せる愛着を振り返る。
 今回新たに盛り込んだのは祖母の思い出。はしけで育ち、港湾労働者の集まるジャンジャン市場で働き、好きだった人を海難事故で亡くした過去が語られる。
 「ノスタルジーでなく、かつてのにぎわいを惜しむ気持ちや受け継がれる思いを交えて、神戸の街と人を描きたかった」
 尼崎出身で、神戸は高校時代からよくぶらついた。阪神・淡路大震災では自身も被災し、「神戸のことを忘れへんでという気持ちが決定的になった」という。本作もその延長線上にあり、「避けては通れないこと」として取り上げた。
 公演は新型コロナウイルス禍のため、2度の延期を余儀なくされたが、今年も1月17日に三宮・東遊園地で「やらせてもらいます」と誓った。
 劇では、傷ついたミナトを見た祖父の悲しみが孫に伝えられる。「昔ほど震災が語られなくなるのは仕方ないことかもしれないが、記憶のバトンを渡していければ」と願いを込める。
 3日午後3、7時▽4日午後1、5時▽5日午後1時-の5回。3500円、学生2千円。同センターTEL078・512・5500

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