過去最多の13人が準備、参院選・混戦の兵庫 公示まで1カ月、各党すでに臨戦態勢

2022/05/29 20:15

参院選の立候補予定者らの演説に耳を傾ける市民ら=29日午後、神戸市中央区元町通1(撮影・長嶺麻子)

 来月22日が有力視される参院選の公示日まで1カ月を切り、兵庫選挙区(改選数3)では構図がほぼ固まった。候補擁立を模索していた国民民主党が参戦を断念。それ以外の6政党に加え、政治団体による新人の擁立も続き、過去最多の13人が準備を進める。混戦の様相を見せる中、各党幹部が相次いで兵庫入りし、臨戦モードになっている。 関連ニュース 安倍派パーティーで岸田首相がミス、維新批判の茂木幹事長が見逃さず自分の点数に 西宮市長選で「散々だった」維新、戦略練り直し 「大阪色」の抑制、さらに「戦略的撤退も」 大阪府外で初の首長狙った維新、続く苦戦 参院選や来年の統一地方選へ戦略の再考も

 2016年から改選数が3となった兵庫選挙区では、自民、公明両党と日本維新の会の現職3人に対し、立憲民主党と共産党、NHK党、政治団体などの新人10人が立候補を予定する。
 自民県連の西村康稔会長(衆院兵庫9区)は29日、神戸市内で開かれた支持団体の集会に出席。「みんなで心を一つに頑張っていきたい」などと支援を求めた。
 19年の前回参院選は自民の新人候補が維新や公明に後れを取り、3番手で辛勝。トップを維新に奪われたショックは尾を引いている。昨夏の知事選では支援候補を巡って県連が分裂し、結束への不安も拭えない。
 今回、連立政権を組む自公が候補者を推薦し合う「相互推薦」の調整が難航した背景には、余裕のない自民県連側の反発もあった。
 保守層を取り込み、当選を確実にしたい公明にとって自民の協力は不可欠。新型コロナウイルス禍で支持母体・創価学会の活動が制限されてきたこともあり、公明側も危機感は強い。
 山口那津男代表は先月下旬、参院選に向けた全国行脚を兵庫からスタート。学会とパイプを持つ菅義偉前首相も今月、神戸を訪れ、自民支持の企業関係者らに公明への支援を要請した。
 対する野党第1党の立民は泉健太代表が29日、今月2度目となる兵庫訪問を実施。西宮市の街頭で「政府に指摘をする大きな政党がなくなってきている。力をいただきたい」と訴えた。
 国民が独自候補の擁立を見送ったため、結果的に支援団体・連合兵庫が期待していた候補者の一本化が実現。ただ、国民県連は自主投票とし、全面協力が得られるかは不透明な情勢だ。
 野党共闘が難航する中、共産は改選複数区の兵庫で独自候補を立てる。今月中旬に神戸市内で演説した志位和夫委員長は憲法9条の改正阻止に触れ、「兵庫で改憲勢力に立ち向かう。党派を超えた支持で押し上げて」と呼び掛けた。
 一方、昨秋の衆院選で県内でも比例復活を含めて、擁立した9人全員が当選した維新は攻勢を強める。神戸市内などの街頭で29日、マイクを握った吉村洋文副代表は「今の国会には改革勢力が必要だ。自民党に対峙できるまともな野党をつくるため、(維新から)多くを国会に送り出してもらいたい」と声を上げ、全国政党へのステップにする意気込みを訴えた。(まとめ・三島大一郎)

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