水素を中小企業のビジネスチャンスに 大手とのマッチングや、HPで情報発信 近畿経産局
2022/09/20 21:05
実証実験で豪州から帰港した液化水素運搬船=3月、神戸市中央区神戸空港(撮影・辰巳直之)
脱炭素社会を進める上で「切り札」として注目を集める水素について、中小企業のビジネス参入を促すため、近畿経済産業局が大手企業と中小をつなぐイベントを開催したり、水素の入門書を作ったりしている。今後、一大産業になると期待される水素分野で、先手の枠組みづくりを急ぐ。10月3日には、水素を扱う大手の担当者が自社の取り組みなどを紹介する発表会をオンラインで開く。
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2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)実現に向け、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素が注目を浴びる。川崎重工業(神戸市中央区)など7社が液化水素を豪州から神戸空港島(同)に輸送する実証実験を成功させ、関西電力などが発電に水素を使う実証を進める。
今後の商用化を見据え、こうした大手企業は素材や部品を開発したり調達したりする上で、地場の中小企業の力を求めている。そこで近畿経産局は昨年4月、大手と中小をつなぐ取り組みを開始。水素の基礎情報や関西での実証事業の事例などをまとめ、ホームページで公開した。
さらに平行して、中小企業への技術指導を担う産業支援機関や研究機関、製造業を支援する自治体との連携を深める。取り組みに賛同する大手企業の開拓も進めている。
同局新エネルギー推進室の日村健二室長は「水素でこれだけ鼻息を荒らげて動いているのは、おそらく近畿が一番だと思う。商用化という来たるべき時に備え、しっかり屈伸運動をしていく必要がある」と力を込める。
10月3日午後2時~4時半に開く「第2回水素産業ニーズ・ウォンツ発表会」では、神戸製鋼所(神戸市中央区)や川崎重工業(同)、日立造船(大阪市)の担当者が報告。オンラインのみで先着500人。無料。申し込み締め切りは9月30日。同局新エネルギー推進室TEL06・6966・6055(堀内達成)