「国葬で安倍政治を神格化してはいけない」前川喜平氏、神戸で講演

2022/09/27 19:30

「安倍政治の総決算」をテーマに講演する文科省元事務次官の前川喜平さん=神戸市長田区若松町、長田区文化センター

 安倍晋三元首相の国葬が営まれた27日、神戸市長田区文化センター(同区若松町5)で、元文部科学事務次官の前川喜平さんが「安倍政治を総決算する」と題して講演した。前川さんは「国民に説明しない、という安倍政権の問題点が、その後の菅政権、岸田政権に引き継がれた」とし、「国葬で安倍政治を神格化してはいけない」と懸念を述べた。 関連ニュース 国葬の朝、県庁で半旗掲揚 「何事もなく終わって」「話題上らない」… まちの声 安倍氏の国葬、ネット調査に寄せられた声から見えるのは 16億円超の費用、国会審議もなし…「不信感」色濃く 安倍氏の国葬、どう考える? 追悼を研究テーマとする人と防災未来センター主任研究員に聞いた

 市民団体でつくる「平和憲法を守る須磨区共同センター」が主催。国葬の日に合わせて安倍元首相が何を残したのかを点検しようと、前川さんを講師に招いた。
 講演には約300人が参加した。前川さんは国葬について「死を悼むという心の問題に国家権力が入ってはいけない」「法律の根拠がないのに閣議決定した」などと指摘。「岸田文雄首相は、国葬を安倍さんから自身への代替わりの儀式、安倍さんの正統継承者であることを内外に示し、支持を集める場と捉えているのではないか」と推測した。
 講演では加計、森友学園問題や、集団的自衛権行使の容認など首相在任中の出来事を振り返り、「安倍政治は民主主義を破壊し、縁故主義をはびこらせて国政を私物化した」と訴えた。
 外交や経済についても「拉致問題は進展しなかった」「アベノミクスの失敗は明らか」と主張。最後に「今回の国葬が、安倍政治の神格化ではなく、その問題点を考え直す機会になってほしい」と願った。(金 慶順)

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