「オリックスが心の支えに」 阪神・淡路大震災経験の男性、当時の熱気思い出す 願うは26年前の再来「日本一」

2022/10/02 23:35

大正筋商店街で地元ファンに出迎えられる仰木監督らオリックスナイン=2005年3月、神戸市長田区久保町

 プロ野球・オリックスが2日、最終戦で首位ソフトバンクを抜き、昨年に続いてリーグ優勝を果たした。2連覇は阪神・淡路大震災があった1995、96年以来となる26年ぶり。96年には日本一に輝いた。震災で多くの店が全焼した大正筋商店街(神戸市長田区)で日本茶販売店を営む伊東正和さん(73)は「当時はオリックスが『諦めないで頑張れ』と背中を押してくれている気がした。日本一になる姿をまた見せて」と願った。 関連ニュース 吉田正尚をうならせたグラブ 制作者は高校時代の同級生「好みは誰よりも知ってる」 球界再編の“荒波”越えて、歌われ続け16年…オリックス球団歌「SKY」 日本シリーズ前に、手掛けたバンドの思い 快進撃を見届けて去りぬ…オリファン漫画で話題の作者が「今季限り」を表明 「日本一に導く妖精やったんやね…」


 大正筋商店街がある新長田駅南地区は工場や木造住宅が密集し、震災で壊滅状態に。商店街も店舗など約9割の建物が全焼した。
 絶望のさなか、被災地に差し込む一筋の光となったのが、当時、神戸を本拠地とし、仰木彬監督が率いていたオリックスだった。95年はシーズン終盤になると、仮設商店街に手作りのボードを掲げ、カウントダウンした。「昨日勝ったな、あと何試合やぞ、って」。あいさつ代わりの「一つになれる話題だった」と振り返る。
 「今年こそは」と勢いづき、96年には日本一に。まちは祝勝セールに沸いたという。「何もかもがなくなった時に、先頭に立って戦うオリックスの姿が心の支えになり、自分たちも前を向けるようになった」と当時の熱気を思い出す。
 あれから26年。優勝が近づくにつれ、日増しに当時の記憶がよみがえったという。連覇が決まったこの日も、自宅のテレビで観戦した。負けは許されず、その上で優勝もソフトバンクの結果次第。「追い詰められていたけれど、昨年の優勝が選手たちの自信になったように見えて、負けそうな気がしなかった」と高ぶった声で話した。
 今年のチームはエースの山本由伸投手を中心に、「持ち味を生かし、結束してシーズンを戦っていた」と感じている。今年日本一になれば、26年前の再来-。「ファンにとって一番望むことですね」と期待に胸を膨らませていた。(竜門和諒)

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