プロ野球・オリックスが2日、最終戦で首位ソフトバンクを抜き、昨年に続いてリーグ優勝を果たした。2連覇は阪神・淡路大震災があった1995、96年以来となる26年ぶり。96年には日本一に輝いた。震災で多くの店が全焼した大正筋商店街(神戸市長田区)で日本茶販売店を営む伊東正和さん(73)は「当時はオリックスが『諦めないで頑張れ』と背中を押してくれている気がした。日本一になる姿をまた見せて」と願った。
大正筋商店街がある新長田駅南地区は工場や木造住宅が密集し、震災で壊滅状態に。商店街も店舗など約9割の建物が全焼した。
絶望のさなか、被災地に差し込む一筋の光となったのが、当時、神戸を本拠地とし、仰木彬監督が率いていたオリックスだった。95年はシーズン終盤になると、仮設商店街に手作りのボードを掲げ、カウントダウンした。「昨日勝ったな、あと何試合やぞ、って」。あいさつ代わりの「一つになれる話題だった」と振り返る。
「今年こそは」と勢いづき、96年には日本一に。まちは祝勝セールに沸いたという。「何もかもがなくなった時に、先頭に立って戦うオリックスの姿が心の支えになり、自分たちも前を向けるようになった」と当時の熱気を思い出す。
あれから26年。優勝が近づくにつれ、日増しに当時の記憶がよみがえったという。連覇が決まったこの日も、自宅のテレビで観戦した。負けは許されず、その上で優勝もソフトバンクの結果次第。「追い詰められていたけれど、昨年の優勝が選手たちの自信になったように見えて、負けそうな気がしなかった」と高ぶった声で話した。
今年のチームはエースの山本由伸投手を中心に、「持ち味を生かし、結束してシーズンを戦っていた」と感じている。今年日本一になれば、26年前の再来-。「ファンにとって一番望むことですね」と期待に胸を膨らませていた。(竜門和諒)