少年事件の記録廃棄問題 日弁連が会長声明「経緯の調査を」「保存は国民の重大関心事」
2022/11/02 22:03
日本弁護士連合会が入る弁護士会館=東京都千代田区
1997年に小学生2人が殺害された神戸連続児童殺傷事件など、重大な少年事件の記録を各地の家裁が廃棄していた問題を受け、国内の弁護士約4万4千人が所属する「日本弁護士連合会」(東京)は小林元治会長名で2日、少年事件記録の保存に関する声明を出した。最高裁に対し、永久保存をする事件の周知徹底や、事件記録が廃棄された経緯の調査、その結果の公表などを通じ「再発防止策を早急に講ずることを強く求める」と訴えた。
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「少年事件記録の適正な保存を求める会長声明」。冒頭で神戸新聞の報道内容を引用しつつ、「重要事件の記録廃棄等の事実は、少年事件記録の保存について家庭裁判所の関心が低いことを示している」と指摘。神戸連続児童殺傷事件や、長崎県佐世保市で2004年に起きた小6女児殺害事件が「特別保存(永久保存)の対象に当たるのは明らか」とし、原則26歳に達するまでとする保存期間の形式的な運用が、廃棄の原因ではないかと推測している。
その上で、少年事件記録は、審理や法改正、被害者支援を検証するきっかけになり、歴史的事実の記録として公文書の意味も有すると強調。声明で小林会長は、「(記録の)適切な保存は国民の重大関心事」と訴え、特別保存の指定や保存状況の公表を求めるなど、透明性の確保も提言した。(霍見真一郎)