「打倒、女王」(10)12選手結束の第4Q 06年兵庫国体バスケ少年女子

2020/06/04 11:06

福岡戦第4クオーター、速攻を仕掛ける兵庫の山中美佳(5)、荒木恵美(10)、河合敬子(13)

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 2回戦第3クオーター(Q)、兵庫・滝井亜里沙(園田高)のパスは、福岡の大庭久美子(九州女高、現福岡大若葉高)にカットされ失点した。
 「うわっ、やってしまった」と滝井。
 またスチールされる。相手エースの森ムチャ(中村学園女高)にシュートを許した。
 さらにドリブルをチェックされ、ボールを失う。
 滝井はベンチに下げられた。「そりゃ、そうだよな…」
     ◇
 38-51
 最終第4Qを前に、難敵の福岡に13点のリードを奪われていた。
 だが、兵庫の主将山下朋美(須磨学園高)は泰然としていた。
 「まだいける。全然」
 ほかのメンバーも同じ思いだった。
 沢田悠(市尼崎高)が攻撃時にリバウンドを死守。河合敬子(夙川高)、山下とパスをつなぐ。
 最後はシューター山中美佳(神戸龍谷高)に託された。角度のない左から、3点シュート成功。
 コーチの高松一人が「インサイドもできるし、ゲームメークもできる」と評価する万能型の山下は、森相手にドライブにも挑戦した。トップから突き進んで得点。
 並外れた跳躍力で沢田がまたオフェンスリバウンド。球を受けた山下はゴールと森を背に、後ろ向きシュートを沈めた。
 41-51
 43-51
 58-62
 「楽しい」とベンチの広瀬真希(須磨学園高)。「一丸となって応援して。シュート1本入るたびに喜ぶのは初めて」
 兵庫の12選手は6校から選抜され、いわば寄せ集めだった。しかし「6チームが手をつなぎ始めたのかもしれない」。
 監督の吉川公明は見えない輪を感じていた。
=敬称略。肩書、所属は当時=
(藤村有希子)
【あらすじ】2006年秋の兵庫国体バスケットボール少年女子。選抜メンバーを組んだ地元兵庫は、最大のヤマ場と捉えていた強豪・福岡との2回戦に挑んだ。

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