多田「悪い時は試合に出るのも嫌だった」スランプ克服 陸上男子100m五輪切符
2021/06/25 22:40
男子100メートル決勝 初優勝で東京五輪代表入りを決め、右手を掲げて喜ぶ多田修平(撮影・中西幸大)
東京五輪代表選考会を兼ねて25日に大阪市で行われた陸上の日本選手権男子100メートルで、関学大出身の多田修平(25)=住友電工=が10秒15で初優勝し、初の五輪代表に決まった。1918(大正7)年創部の古豪、関学大陸上部の短距離では64年の前回東京五輪、男子400メートルリレー代表の浅井浄さん(81)=兵庫県宝塚市在住=以来、57年ぶりの晴れ舞台。前日に誕生日を迎えたばかりのスプリンターは「最高の誕生日プレゼント」と胸を張った。
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大阪府出身の多田は大阪桐蔭高から関学大に進学。3年時の2017年、追い風参考ながら国内レース日本人初となる電気計時での9秒台をマークし、一躍注目を浴びるようになった。世界選手権代表にも選ばれ、日本のトップスプリンターに仲間入りした。
だが、日本人の9秒台が珍しくなくなる中、その後は精彩を欠いたレースが続き、「悪い時は試合に出るのも嫌だった」と打ち明ける。それでも、「五輪」と「9秒台」を目指して前を向き、今月、約4年ぶりに自己ベストを更新する10秒01をマークし、大一番の前に東京五輪参加標準記録を突破した。
迎えた最終決戦の日本選手権。決勝のスタートラインに立った8人のうち、参加標準記録突破者は5人を数えた。最高の舞台で武器とするロケットスタートを決め、3枠しかない代表権を獲得した多田は「皆さんのたくさんの支えがあったから、ここまで来られた。本当にうれしい」と涙ながらに感謝した。
関学大陸上部在籍、出身者では16年リオデジャネイロ五輪男子棒高跳びの荻田大樹(33)に続く2大会連続5人目の代表。前回の東京五輪に出場した浅井さんは「関学大から、また短距離で五輪代表が出てくれるのはうれしいこと。日本からも9秒台の選手が何人も出てきており、リレーも含めて五輪で見るのを楽しみにしている」と喜んだ。
(金山成美)