<ヴィッセル神戸月間リポート>9月 抜群の決定力ACL射程 完封2試合粘り驚異的
2021/10/06 05:30
神戸新聞NEXT
アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を目指すJ1神戸が、終盤戦に向けて激しい上位争いを展開している。9月は2勝1分け1敗。首位川崎には今季初の逆転負けを喫したが、夏の新戦力が徐々にフィットし、主力離脱も総力戦でしのいだ。その戦いぶりを、攻守に象徴的な数字から探った。(山本哲志)
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興味深い数字がある。神戸のシュート本数と打たれた本数だ。
10月2日の浦和戦までの31試合で、シュート数271本は20チーム中11位。一方で被シュート数315本はワースト4位だ。9月の4試合も神戸のシュート数が相手を上回った試合はなかった。
だが、リーグ4位の50得点を挙げて失点30もリーグ5位。順位は堂々とACL出場圏内の3位につけている。他クラブを見ると、川崎や横浜Mのように上位の多くはシュート数が被シュート数を上回り、下位になれば被シュート数は増える。神戸の数字は例外的だ。
その理由に、神戸のプレースタイルと選手の質の高さを挙げたい。
今季序盤はハイプレスからの速攻で古橋が少ないチャンスをものにした。イニエスタの復帰以降はボールをつなぎながらもビルドアップに苦労したが、ひとたび決定機となれば、夏に加わった大迫や武藤ら各国代表経験者らがシュートを正確に枠に飛ばした。完封勝ちした9月の札幌戦と清水戦のシュート数は、わずか4本ずつだった。
守備では、菊池らDF陣の体を張ったブロックやGKの好セーブが危機を救った。今季初めて逆転負けした首位川崎戦を含め、複数失点は6試合のみ。被シュート数から考えると驚異的な粘り強さだ。チームの「心臓」MF山口の負傷離脱の影響も最小限にとどめた。
三浦監督は川崎戦前に言っていた。「僕らはいろんな選手を獲得しているが、ビッグクラブではない。しっかり結果を出してからそういうものが初めて見えてくる」。終盤戦も勝負強さを発揮して勝ち点を積み上げ、新たな地平を切り開く。
□FW・武藤 宣言通りの「ゴールマシン」
「ゴールマシンになる」。8月の入団会見で宣言した通り、神戸の元日本代表FW武藤が着実に数字を積み重ねている。
9月は全4試合で先発し、清水戦と川崎戦でゴール。10月2日の浦和戦でも3戦連続得点と止まらない。得点した3試合で放ったシュートはその3本だけとずばぬけた決定力を誇り、アシストも既に三つを数える。
慶大在学中にFC東京でデビューを飾り、2015年にFC東京からドイツのマインツへ。イングランド、スペインと渡り歩き、6年ぶりに日本に復帰した。欧州では大きなインパクトは残せなかったが、神戸で結果を残し続ければ、代表復帰も十分に可能だろう。「自分のゴールやアシストはチームを勝たせるためにある」。風貌も弁舌もさわやかな29歳に注目だ。(山本哲志)
■チーム得点ランキング(9月末時点)
(1)=15点 古橋
(2)=5点 菊池 ドウグラス
(4)=4点 山口
(5)=3点 中坂
(6)=2点 郷家、武藤、イニエスタ
(9)=1点 フェルマーレン、田中、佐々木、酒井、大崎、小田