「コウノトリとの接触に注意を」全国初の道路標識 兵庫・朝来市が4カ所設置
2021/06/18 05:30
コウノトリがデザインされた標識=朝来市山東町三保
兵庫県朝来市はこのほど、市内の市道沿い4カ所に、コウノトリとの接触に注意を呼び掛けるドライバー向けの警戒標識を設置した。4月に同市内で発生したコウノトリとの衝突とみられる交通事故を受けて、県立コウノトリの郷公園(豊岡市祥雲寺)が標識の図案を試作。道路管理者の同市が採用、設置することを決めた。同公園によると、全国でもツルやタンチョウの標識は存在するが、コウノトリ注意の標識を設置した例は把握していないという。(竜門和諒)
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4月中旬、朝来市和田山町久田和の巣塔でひな3羽を育てていた4歳の雄が、近くの田んぼの水路でけがをしているところを発見され、同公園で保護したが2日後に死んだ。同公園によると、現場やけがの状況から、飛んでいる際に車と接触したとみられるという。
同公園がまとめたコウノトリの救護・死亡事案は2005年の放鳥開始から昨年末までに147件。うち4件が交通事故という。4件のうち3件は車、1件は鉄道が関係していた。えさ場の田んぼが道路を挟んだ位置にあると歩いて横断することもあるといい、ドライバーに注意を呼び掛けようと図案を試作していた。
市では、コウノトリがよく目撃される場所を巣塔の近隣住民に聞き取った上で、スピードの出やすい直線区間の端に設置することを決めた。このほど、同市和田山町久田和と同市山東町三保の巣塔周辺の路肩に高さ3メートルの標識を設置した。県養父土木事務所も6月中に、同市和田山町岡田の巣塔周辺の県道沿い2カ所に設置する予定という。
市建設課の野中昭義課長は「事故はコウノトリだけでなく運転していた人間も悲しい気持ちになる。標識で注意を促し、繰り返されないようにしたい」と話している。