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コウノトリ“託児”3羽すくすく 親鳥死に別のペアへ 国内初

2021/04/20 14:30

 兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園(豊岡市)が、子育て中に父親が死んだコウノトリのひな3羽を、別のペアに育てさせる試みに乗り出した。これまでも親を失ったひなを保護して育てるケースはあったが、いずれも人工保育で、別のペアに託す取り組みは全国で初めてという。(阿部江利)

 同園によると、ひな3羽は朝来市の人工巣塔で3月末から4月初旬にかけて生まれた。親はいずれも豊岡市内で生まれた4歳の雄と雌で、2020年にも同じ巣塔で繁殖に成功。2羽を巣立たせており、今年も4個の卵を産んで、3羽が無事に育っていた。

 ところが今月12日夕、朝来市内の田んぼの水路でけがをして動けない雄が発見され、同園が保護したが、14日朝に死んだ。雌はひなと一緒に、巣で雄の帰りを待っていた。コウノトリのひなは、どちらかの親が餌を取っている間、もう一方が巣に残らなければ、カラスなどに襲われる可能性があり、1羽の親だけで子育てするのは難しい。同市の依頼を受けた同園が13日、ひな3羽を保護した。

 同園は、子育てが上手な16歳雄と21歳雌の飼育コウノトリのペアにひなを託した。保護された当日、ひな2羽をペアの巣に入れたところ、雌が餌を吐き出して与え始めたため、3羽目も入れて、本格的に託児をスタート。ペアでかいがいしく世話をしているという。

 同園によると、野外コウノトリのひなの保護は4例あるが、いずれも親の代わりに人が餌を与える「人工育雛(いくすう)」だった。ペアに、既にふ化したひなを預けるのは初めての試みという。

 このペアは、19年秋から同園内の「東公開サイト」にあるドーム型ケージで飼育されており、散策路から中の様子を見学できる。同園は「ひなを攻撃してしまう恐れもあったが、無事に世話をしてくれてスタッフ一同が一安心した。かわいいひなの成長を一緒に見守ってほしい」と話している。

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但馬

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